約 2,307,913 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/430.html
「なによなによなによっ、一体どーゆーことなのっ」 突然耳元で天使型MMSのユリがわめいた。 いや、気持ちは解る。 きっと、その夜は日本全国ー、世界中の天使型神姫とそのオーナーは多分、同じような思いを抱いたハズだ。 アタシはケイ、悪魔型MMSだ。ーって、また会ったね。出番があって嬉しいよ。 え、初めて?それじゃぁちょっと左側のメニュー。うん。そっから武装神姫SS総合掲示板 ってトコへ行って連作&固有名詞有作品投下スレ ってのを見てくれないかな。アタシの活躍が書いてあるから、サ。 ま、今回の話はそれを読まなくても別に構わないんだけどね。 「うわ、第四弾がどういう武装かもまだはっきりしないのに」 オーナーの言葉にユリが声をかけた。 「一体どうしたんですか、オーナー」 「ああ。一部の店舗で第五弾の予約受け付けを開始したらしいんだ。一緒に見てみないか」 呼びかけに応えて、アタシたちは、デスクの隣にあるアタシたちの部屋から、デスクの上に降り立った。 オーナーがリンクをクリック、画像が画面に現れた。 「なによなによなによっ、一体どーゆーことなのっ」 その瞬間、ユリの悲鳴のような絶叫が聞こえた。 一瞬あっけにとられるオーナーとアタシ。 ユリは両拳を握りしめ、画面を凝視している。 画面を見て、オーナーとアタシはアッと声をあげた。 第五弾から、新しく水中もバトルフィールドに加わるらしい。人魚型の神姫とウェポンセットのイルカ型が目に入った。これまでに発売された神姫は、イルカ型の装備を使って水中戦に対応することになるのだろう。アクアラング用とおぼしきボンベ(でも神姫は呼吸をしない。多分、浮き沈みの調整用だろう)や水中銃らしきもの、水中機動用とおぼしきバックパックが目についた。 で。 で、だ。 問題は、もう一つの第五弾、鳥型にあった。 恐らくは、背面の拡張パーツに取り付けるであろう羽に、太ももから換装するであろう脚部。 完全に被ってるじゃん、天使型と。 「あちゃー」 これにはオーナーも絶句した。 よく見ると、脚部は足首がついて、地上での動きも確保されている。しかも、射撃と格闘兼用らしい武装を持っている。天使型のネガティブとされていた点をカバーしたような装備だ。 「こんなのって…、あたしたち天使型の存在意義がなくなっちゃうじゃない」 オーナーもアタシも、ユリに声をかけることは出来なかった。 しばらくの沈黙を置いて、オーナーが声を出した。 「案外、そうでもないんじゃないか。ユリ」 「どういうことですか、オーナー」 「似たようなコンセプトだけど、狙っている闘い方の方向性は違うみたいだ」 アタシたちはオーナーが指差す画面を見た。 「まず、この写真を見る限り、天使型に付いているエクステンドブースターのようなものは無さそうだ。そして、可動する羽。最高速を目指しているワケではなさそうだね。あとは脚部ユニット。足首を付けて、地上での汎用性を高めているけど、逆に言えば、飛行するときは、空中に特化した天使型の脚部ユニットほどの性能は出せないんじゃないかなぁ。コイツの戦法は、飛べるという機動力を活かした、中・近距離戦が主体になると思う。GFFやSRWに出てくるモビルスーツの闘い方みたいになるんじゃないかな」 GFF、SRWは、過去数十年のロボットアニメに登場する各種ロボットたち(もちろん、それなりに縮尺されたサイズだ)を操り闘う、武装神姫に似たシステムを持つバトルゲームだ。 「それじゃ…」 ユリの表情が明るくなった。 「見かけはとても似ているけど、別物だね。もし闘うなら、足を活かして距離を保って、ミサイルでも使って牽制、LC3レーザーライフルで仕留めるってとこかな。ま、言うほど簡単じゃないだろうがね」 「よっしゃー。所詮ナマモノの鳥がモデル、可憐な天使がモデルのこのあたしに敵うワケがないのよねっ」 ユリは立ち上がると、ホーホッホなどと高笑いを始めた。 普段はおしとやかぶってるんだけど、いざとなるとこの調子だ。オーナーもあきれて笑っている。ま、いつものユリに戻ったってことなんだろうけど。 その夜は実際、大騒ぎだったらしい。その後、オーナーは、所属している天使型のコミュニティに呼び出しをくらって、ボイスチャットをしていた。 ほとんどの天使型が、鳥型の発売予告にショックを受け、怒ったり、落ち込んでいたりしたそうだ。ま、バトルをしない神姫は「お友達が増えますねー」などと単純に喜んでいたというけどね。結局、「鳥型は天使型と別物」ということを伝えて落ち着かせる、という方向で話は終わったのだけど。 ただ、本当にトップランカーの神姫になると、装備の分析を始めて、自ら違いを見つけたりしていたという。 どうやらアタシたちもまだまだ経験が足りないようだ。 頑張ろうぜ、ユリ。 おしまい。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2020.html
皆さんこんばんわ。 さて今日の私とマスターさんは、深夜の散歩としゃれ込んでおります。 深夜とは言いましたが、周囲には私どもと目的を同じくする方々であふれ、そんな方々のために至る所に篝火が焚かれ、それを見込んでの屋台も立ち並び、ちょっとしたお祭り状態です。 私たちはといえばそんな方々からしばし距離を置き、境内のベンチに並んで座り(私はもちろん正座でです)その時を今か今かと待ち受けております。 目的の時間まではまだしばし猶予があるのですが、さすがに冬の深夜ともなればかなり冷え込みます。私はこの程度の寒さならば動作不良を起こすこともないので問題ありませんが、マスターさんはといえばセーターやコートを常よりも着込んでおり、時折缶コーヒーをすすりつつ暖を取っております。 申し遅れましたが、散歩の目的地は私達の住居にほど近い神社。 そしてその目的は、「二年参り」とのことです。 なんでも「二年参り」とは、本日12月31日の大晦日に、年が明ける前から神社で新年を待ち伏せし、旧年分の参拝と新年分の参拝(つまり初詣ですね)を一度の訪問で済ませてしまおうという、一粒で二度おいしいナイスなイベントであるとか。 「そう言うとなにやら、ずいぶんとフランクといいますか、厳かさが皆無といいますか」 おっと、どうやら私の理解は世俗的でありすぎたようです。 申し訳ありません、武装神姫である私には、「神」や「信仰」といった概念がどうにも馴染みませんで。 ですがまぁ無礼と承知で言わせていただければ、「信仰」というものはとかく複雑かつ曖昧で、私などには理解が追いつかないのですよ。 「なるほど、人間にとっても完全には理解しがたい概念ですしねぇ」 「いえ、それ以前の問題でして」 「と、いいますと?」 つまりですね、マスターさんの言うところの「人間にも理解しにくい概念」というのは「信仰とは何ぞや」「神とは何ぞや」といった根源的な哲学分野での話題で、そちらに関してはもう完全に理解不能の概念なのです。 ですが私としては、そこに至るまでもなく、そこよりもずっと表層部分の段階ですでにサレンダー状態で。 ぶっちゃけていいますと、データベース的な意味合いで「キリスト教」「仏教」「神道」その他の違いは分かるのですが、ならばたとえば自分にとって一番よいものを取捨選択せよ、となるとこれがどうにも。 「これが武装選択の話ならば、『こちらの武器は重い代わりに強い』『こちらの防具は薄い代わりに動きやすい』と非常に分かりやすいのですが」 「あー……なるほど、そういう捉え方をしているのですね」 むむ? なにやらマスターさんが苦笑いしております。 「僕もさほど詳しいわけでもありませんが……多分信仰とは、そういった見返りを超越したところにあるのではないかと」 むむむむむ? 申し訳ありません、正直言ってますます理解不能です。 「こちらこそ申し訳ありません、僕自身が理解してるわけでもないので、どうしても説明が曖昧で」 深々。 「そんな滅相もない」 深々。 「あ、でも……」 と、マスターさんがふと何かを思いついたように小首を傾げます。 「『武装神姫には信仰の概念が理解できない』といいますが、その割には今後のラインナップに『シスター型』も居らしたようですが」 ああ、居ましたね、『ハーモニーグレイス』でしたか。 「どうなのでしょうね……後発の武装神姫ともなると、AIも発達してそういった概念も理解できるようになっているのでしょうかね?」 私も、小首をかしげながらマスターさんにお答えします。 私自身が自分自身を把握しているとは言いがたい現状では、余所様の精神発達など及びもつきません。 「もっとも、単純に私自身の思考が『信仰という概念を理解するのに向いていない』という可能性もありますが」 「なるほど……じゃあ今度、他の武装神姫の方にも聴いてみましょうか?」 「そうしましょう」 さて、だいぶ話が脇道にそれてしまいました。 そんな訳で私達は今、近所の神社にて周囲の喧騒を眺めつつ、遠くに除夜の鐘を聞きながら年明けを待っている状態です。 あ、また一つ鳴りました。今のでちょうど100回目です。 除夜の鐘というのは単なる新年へのカウントダウンというわけでもなく、これまた宗教的概念からくる、「人間の持つ108の煩悩を鐘の音で払う」という儀式なのだそうですね。 先日のクリスマスといい、年末年始のイベントの謂れには、自分の勉強不足を痛感させられるばかりです。 いや本当に、世の中知れば知るほど自分の物知らずを思い知るばかりで。 「一文の中に『知る』を4回も織り込むとは、なかなかの言葉遊びですね」 「お褒めいただき恐縮です」 深々。 「どういたしまして」 深々。 「ところでマスターさん」 「なんでしょう犬子さん」 「いわゆる『108の煩悩』というのは、キリスト教で言うところの『七つの大罪』にあたるのでしょうか?」 「んー……厳密には同じものというわけでもないでしょうけど、人間が戒め改善すべき欠点という意味では、同じカテゴリーと言えるかもしれませんね」 「だとしたら素朴な疑問なのですが、その15倍以上に達する数の差は何なのでしょうか?」 日本人は謙譲を美徳とするはよく言われますが、キリスト教圏内の方々に比べて文字通り桁の違いの数の欠点を仏教徒の方々が数え上げたというのでしたら、謙遜と言うにも程があるのではないかと。 「えーと、それはおそらく単純に差し引き101個多く数え上げてるというわけでもなくて、キリスト教でいうところの7つを、細分化して108になっているんじゃないでしょうかね?」 「おお」 私はぽん、と手を打ち鳴らします。 なるほど、大分類と小分類の差なのですね。 「いやまぁ、僕も『七つの大罪』はともかく、108の煩悩が何を示しているか正確に知っているわけでもないので、あてずっぽうなのですが」 「いえいえ、十分納得のいく考え方です」 少なくとも、自分の思考はまだまだ狭いものだという事を自覚できた、まさにカメラアイから保護フィルターが落ちるお答えでしたとも。 と、ふとマスターさんが何かを思いついた表情になり、小さく笑みを浮かべられました。 「しかしそうなるとですね犬子さん」 「何でしょうマスターさん」 「纏めれば七つで済むものを108まで細分化させたあたり、今度はその細やかさが気になってくるのですが、やはり日本人は凝り性ということなのでしょうかね?」 あー、確かに日本人の凝り性っぷりは、当人達が熱中して他所様から「やりすぎ」と指摘されるまで気づかないために、とことんまで突き進むともよく言われますね。 その「やりすぎ」の最たるものが、このコンパクトな本体にここまでの高性能を搭載してのけた『玩具』であるところの、我々武装神姫なのではないかと思うのですがそれはさておき。 「マスターさん、仏教は中国経由でインドから日本に流入してきたものですから、日本人の凝り性っぷりとはまた別なのだとは思いますが」 「やや、これはお恥ずかしい」 マスターさん、額を押さえながら照れたような笑みを浮かべます。 「知識として知っていたはずなのに……身近にあるものですので、ついつい勘違いをしてしまいました」 「いえいえそんな、お気になさらず。とはいえ実際、日本人気質に馴染むものはあったのではないかと」 そう、あって当然のものと受け入れられるくらいに。 ……宗教という概念は私にはそぐわないとは申し上げたとおりですが、対してマスターさんはといえば、熱心な仏教徒というわけでもないのに、自然と馴染んでいらっしゃいます。 キリスト教や神道、儒教もまた、同様に。 このあたりの懐の広さは、ぜひとも見習いたいものです。 「いやそれは日本人が良く揶揄される、節操のなさだと思いますが」 「マスターさん、こういうときはポジティブに捉えるがよいかと」 「……それもそうですね」 「ええ、そうですとも」 そうこうしてる間に、鐘の音も106を数えました。 周囲にあった人の流れもしばし停滞し、皆さんが時計を気にし始めます。 いよいよですね。 私は、すっくとベンチの上に立ち上がります。 「どうかされましたか、犬子さん?」 「いえ、ちょっと」 私は問いかけるマスターさんに笑みを向けつつ、曖昧な言葉でごまかします。 いよいよ、かねてより私が思い描いていた、一発芸のお披露目のときです。 周囲も盛り上がって参りました。 お若い方々などが音頭を取り、大声でカウントダウンなどを始めておられます。 それに唱和する声もどんどんと高まる中、107回目の鐘の音が鳴り響きます。 そしてその直後、暦が新年へと切り替わる瞬間。 「はぁっ!」 私は掛け声も勇ましく、ベンチから飛び上がります。 宙返りのさなか、ちらりと確認したマスターさんのお顔は、何事かと目を丸くしておいででした。 約二秒の滞空ののち、私がしっかりと地面に着地すると同時に、最後の鐘の音が鳴り響きます。 周囲の喧騒も最高潮に達し、あちこちで新年の挨拶を交わす様子が見受けられます。 私は降り立った地面で振り返って、やや意表をつかれたご様子のマスターさんを見上げますと、ドッグテイル全開、得意満面の笑顔で宣言いたしました。 「見てくださいましたかマスターさん? 私、新年となった瞬間にはこの地球上には存在しなかったのですよ!」 「ああ、なるほど……」 それを聞いたマスターさん、得心いったかのように笑顔で頷いてくださいました。 「それはすごいですねぇ」 おお、マスターさんにお褒めいただいたしまいました。これはまた幸先がよいですね。 一年のうちにこの瞬間のみしかお披露目できない一発芸、やはりタイミングを逃さずにお見せできてなによりです。 と、マスターさんにやや悪戯っぽい表情が浮かびました。 「ですが犬子さん、甘いですよ」 「むむむ? なにがでしょうか?」 「僕の両足を見てください」 「御御足、ですか?」 一見するとごく普通に両足で大地を踏みしめていらっしゃるようにお見受けいたしますが、何かあるのでしょうか? 「ええ、両足で踏みしめてますね……東側と、西側を」 !? そ、それはもしや……! 「お察しいただいたようですね……そうです、僕の体の上を日付変更線が通り過ぎる瞬間……」 そこでマスターさん、一度言葉を切り、厳かに宣言されました。 「僕は、旧年と新年の双方に同時に存在していたのですよ」 「な、なんと……!」 私は、そのお言葉に打ちのめされます。 なんと我が発想の貧困なることか。 私が自分の存在をゼロにしたと浮かれてるのを尻目に、マスターさんはその御身を倍に増やされていたのです。 ゼロと2の差……これは単なるマイナス1とプラス1いう範疇に収まらない、まさにゼロにいくつをかけてもゼロのままで永久に2に追いつくことのない、まさしくマスターさんと私の絶対的な差異といえましょう。 「いえあの、そこまで大仰に感心されるとなんだか恥ずかしいのですが……」 ? はて、マスターさんの呟きを咆皇で増幅されたイヤーセンサーが感知いたしましたが、これほどの偉業の前に一体なぜ恥じ入ることなどあるのでしょうか? あ、ですが少々困ったことになりました。 「大変ですマスターさん」 「どうしました犬子さん?」 「武装神姫は一体に対しオーナーは一人が鉄則ですが、マスターさんが同時にお二人存在していたとなると、オーナーの二重登録となってエラーが発生してしまうことになるのではないでしょうか?」 これは一大事です。もちろん私自身の忠誠はマスターさんから揺らぐことなどありえませんので今まで気にしたことなどありませんでしたが、もうお一方もマスターさんともなれば話は別です。 一体この状態は、どう処理すればよいのでしょうか? 「あー……」 私の困惑の入り混じる相談を受けて、マスターさんは一瞬宙に視線をさまよわせまして。 「同時存在してた僕と、居なかった犬子さん、合わせたら計算すればちょうどいいじゃないですか」 「おお!」 なんとうことでしょう、私は感動に打ち震えました。 きっとマスターさんはこの展開が読めていたに違いありません。 私が矮小にも自分の存在をゼロにすることを画策していた間に、マスターさんはそんな私の考えなど見通した上で、そんなわたしの存在を補うために旧年と新年の双方に存在することを選んでくださったのでしょう。 さすがはマスターさんです。 なんという慧眼と度量、そして有難く申し訳ないことでしょうか。 「いえだから、そこまで大げさな話では……」 マスターさんの呟くような苦笑いを例によってイヤーセンサーが拾いましたが、それは尻つぼみに消えまして。 マスターさんは一度首を振って、身を屈めて私へと手を差し伸べてくださいました。 「そろそろ初詣、いきましょうか」 「はい、お供させていただきます」 私は失礼してマスターさんの手に乗りますと、外出時の指定席であるマスターさんの胸ポケットへとおさまりました。 「少々人込みが多いです。僕も気をつけますが、犬子さんも潰されないように気をつけてくださいね」 「はい、お気遣い感謝です」 深々。 「いえいえ」 深々。 人込みの中、押し合いへし合いになって圧迫される危険性を考えると、胸ポケットよりもいっそ肩の上にでも失礼したほうがよいのかもしれませんが、そうなると今度は落下の危険性を考えねばなりません。 これだけ人々のひしめく中に落ちるとなかなかにスリリングなことになりそうですから、やはり胸ポケットが妥当かと考えます。 それに、その、なんと申しますか、この場所は……落ち着きますので。 「おや犬子さん、尻尾がずいぶんとご機嫌ですね」 「や、その、これは……初詣とそれに続く一連のイベントが、楽しみでして」 マスターさんにドッグテイルの機動をご指摘され、とっさにごまかしてしまう私です。 や、5円からのトレードオフで願いをかなえられると言う初詣や、今年一年の動向を予言できる御神籤などが楽しみであるのも嘘ではありませんが。 ……ごまかすといえば。 そういえば先ほど初詣を提案されたマスターさんにも、なにやらごまかされたような気がいたします。 もちろんお供には喜んで従いますが、一体なにかまずかったのでしょうか? その直前には、マスターさんを賞賛させていただいただけなのですが……。 そうですね、推測するに……さすがに賞賛されるのを拒否したかったということもないでしょうし、これは きっと、マスターさんほどのお方ならば周囲の方々からも絶賛されていて、私程度の賞賛など聞き飽きていらっしゃったのでしょう。 なるほど、そう考えれば筋は通ります。自らの語彙の貧弱さに恥じ入るばかりです。マスターさんを賞賛する言葉の研鑽を、もっともっと積まねばなりません。 不意にぶるりと、マスターさんが身震いされました。 「どうされましたか、マスターさん」 「あー、いえ、急に寒気が……やはり冷え込みますしねぇ」 マスターさんは、コートの襟をかき抱くようにあわせます。 「それはいけません。早く暖まりませんと」 「まぁ大丈夫でしょう。参拝の行列に並べば、むしろ暑いくらいになるでしょうし」 そう仰りつつ、マスターさんは私を胸ポケットに収めたまま、行列の後ろに向かって歩き出されます。 ……足取りが乱れているご様子もなし、心配はないでしょうか? と、不意にその足が止まりました。 「どうされましたか、マスターさん?」 見上げて問いかける私を、マスターさんは覗き込みます。 「そうでした、大事なことを忘れていました」 「大事なこと、でしょうか?」 「はい、大事なことです」 マスターさんは、にっこりと微笑まれまして。 「新年、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いしますね」 「あ、はい! あけましておめでとうございます、こちらこそよろしくお願いします!」 <その16> <その18>? <目次> そんな感じで、お久しぶりの投下です。 web拍手をみるに、こんなにお待たせしてしまったのにもかかわらずずっとお待ちして下さった方々も いたご様子で、有難い限りです。 だいぶ時間も空いてしまい、実際にこいつらを文面に起こすのも久しぶりではあったのですが、さすがといいますが、書き始めてみると勝手にしゃべるしゃべる。 こいつら武装神姫SSで何をシューキョー騙もとい語ってるのかと。 最初はジャンプと両足だけでさらっと書く予定だったんですがねー。 これからまたぼちぼち、続けていきたいところです。 ガンダム無双2が止まらない土下座でした。
https://w.atwiki.jp/nekokonomasuta/pages/20.html
『3/21』 ○【回避ボーナス/ペナルティ】追加。 『3/20』 ○技能【ツインアタック】追加。 ○技能【連携攻撃】の消費TPを3に増加。 『3/19』 ○追加技能を、追加・修正。 ○射撃武器一覧のCPを一部変更。 ○ハイパーチャージャー系装備追加。 ○外装パーツリストを新設。 『3/18』 ○カスタムパーツ修正。 ○特殊武器としてスモークグレネード関係を追加。詳細はMixiにて ○フォートブラッグの砲撃モード修正。 『3/17』 ○カスタムパーツ増加・修正。 ○移動属性に関して追加事項(暫定版/後日修正予定) 『3/15』 ○エラッタ面を改善。 ○ヴァッフェバニー用各パーツ修正。 ○アーンヴァル用各パーツ修正。 ○【背部ユニットの複合拡張について】にサイズ制限事項を追加。 ○ショルダーミサイル関連のデータを変更。 『3/14』 ○β版データ用に大幅更新。各種ルール追加。 ○追加ラックを各装備に大幅増加。 ○旋回値の上昇を、実質10レベル単位に変更。 ○一部神姫の武装命中修正。 『3/13』 ○ヴァッフェバニー【基本性能】修正。 ○フォートブラッグ【基本性能】修正。 『3/12』 ○武装神姫一覧にバリエーション機体として 【量産型アーンヴァル】 【 フォートブラッグ-ADAMS-追加。】 ○ヴァッフェバニー【STR6ミニガン】能力修正。 ○ストラーフ各種データ修正。 ○紅緒【特殊】IV+3追加。 『3/11』 ○ツガル【基本能力値】及び【特殊】修正。 ○ハウリン【特殊】変更。 ○マオチャオ【旋牙(シャンヤ)】各能力変更。 ○【ぷちマスィーンズ】特殊能力を変更→変更取消。 『3/10』 ○αテスト中【不死身】技能の習得、使用不能。 ○【飛行ルール】に関する新設定。 それに伴い、ジルダリアハイパー化の移動特性を飛行 VTOLに変更。 ○ジルダリア【ボーレンホーミング】能力修正。 ○ヴァッフェバニー【STR6ミニガン】【カロッテTMP】能力修正。 ○フブキデータ更新。 ○フォートブラッグ【基本能力】【特殊】能力変更。 ○ツガル【基本能力】【武装データ】修正。 ○【技能・一斉発射】使用可能武器を【射撃武器】と明記。 ○アーンヴァル【LC3レーザーライフル】弾数変更。【技能リスト】変更 ○追加技能新設。 ○ハウリン【吼莱一式】間接攻撃可能に変更。 ○ストラーフ【S・R・G・R】各種能力変更。 『3/9』 ○【α版Ver2,0】へ移行。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/72.html
武装神姫のリン 第3話 「イベントへ」 最近はリンは俺の買ってきた服(あの日以来、月に1度ほど新しい服を買ってやることにしている) を着て、休日は出かけたりする。 で、今日も目的地へ向かう電車に俺は乗っているわけだが、今回は少し事情が違う。 今までは普通の繁華街へ行くぐらいだったのだが、今日は武装神姫のプロモーションも兼ねた大々的なイベントが開催されるということで一度行ってみようということになった。 イベントは基本的に新モデルの発表があったり、『舞装神姫』コンテストの成績優秀者の神姫によるファションショーやら、バトル方面ではS、Aランカーによるエキシビジョンマッチ等がある。 そんな中でも今回のイベントは格が違うらしく、イベントの会場が某オタクの祭典と同じらしい。 もちろんエキシビジョンもあるのだが、今回はメーカーからの販売基準をクリアした『同人』武装パーツや衣装(こちらは主にゲームやアニメの会社が自社の版権作品のキャラの衣装を販売するそうだ)の即売会も会場の1/3ほどのスペースを使って行われる。 マニアの間ではこちらの方がメインらしく、有名企業のゲームキャラの衣装等は一般販売があと半年は無い予定でプレミアが付くという情報が飛び交ったりしたそうで徹夜で並ぶ者もいたらしい。 と、なんで俺がこんな情報を知っているかというと…… 俺をこの世界に引き込んだ友人は一般的にオタクと呼ばれる人であり、彼はこういったイベントの情報はどこからかは知らないが最速レベルで手に入れてくる。 そんな彼は昨夜から有給を取り、徹夜で即売会入り口に並んでいる。 なんでも、リンの分も服を買ってくれるそうなので俺はそのための軍資金と判断基準(1着の値段や、特殊な趣味のモノは避けるなど)を書いたメモを渡しておいた。 今日が一般の給料日の週の日曜という条件がなければ軍資金を渡すことなどできなかっただろう。 企業も考えているということだけは分かった。 で俺はリンと一緒にイベント会場の入り口にいるわけだが、こちらも結構人が多い。 子供連れの親子や、結構年配な夫婦などが見られる。 だいたいそういった客は「舞装神姫」のファッションショーが目当てのようで既に第1回ショーの開催時間が近づいているためか、皆足早にステージへ足を運んでいる。 で180度反対方向はエキシビジョンマッチのステージであり、コチラは大体俺と同じような10代から20代半ばの男性ユーザーが多い。 女性のグループもしばしば見られる、ファッションショーよりこっちが好きという女性も多いようだ。 取り合えずエキシビジョンマッチの方が人が少なく、ステージが良く見えるのでまずはコチラを優先した。 さすがにこちらのステージにいるユーザーの神姫は服を着ていることが少ない。 「マスター、アレを。」 リンに促されてステージのバックにある大型スクリーンに目を移す。 エキシビジョンマッチの第1戦が始まったようだ。 対峙するのはストラーフモデルとマオチャオモデル。ストラーフモデルは基本セットのアームやレッグに多様改良が加えられ、スラスターも追加されている。武器はハンドメイドらしい刃物を各部にマウントしている。中、近戦専門でロングレンジでの戦闘は全く考えていないセッティングだ。 一方マオチャオモデルも同じく両腕にドリルということで接近戦主体らしいが、アーンヴァルのパーツを身につけていて、相手のストラーフモデルに比べ、飛行もしくは滑空が可能のようだ。 戦闘が開始される。 先に仕掛けたのはストラーフ。 スラスターの出力全開で一気に距離をつめ、セカンドアームのナイフで切りつける。 が相手のマオチャオは冷静に右手のドリルで迎撃、開始数秒でいきなり2体の間で火花が散る。 密着した状態からストラーフはメインユニットが腰にマウントされたリボルバーを抜き取った、と次の瞬間銃声。 だがマオチャオは宙返りの要領でそれをかわすと共にストラーフの後ろを取り、強烈なキックをお見舞いしていた。 体勢の崩れたストラーフにマオチャオが追撃のドリルを放つ。 がストラーフもソレを紙一重で避けセカンドアームで反撃。 マオチャオはスラスターの逆噴射でそれをギリギリで回避し距離をとる。 気が付くと周りの観客は歓声を上げている。 それほどに見入っている自分が不思議に思えたがそれはリンも同じようだった。 「……彼女達はすごいですねマスター、私が思っていた『バトル』とは次元が違います」 「まああのモデルは全国大会で入賞が当たり前のレベルのランカーだからな。あんなふうになるには相当は時間が掛かってるはずだ、訓練とか入念なパーツのメンテナンスがあってこそだろうな。」 「私も、あんなふうに闘えたら……」 「おい、お前バトルに興味あったのか??」 「…はい。最近TVでもバトルの中継が増えてますし、『武装』神姫は基本的に戦闘が主の目的で作られていますので」 「オシャレだけじゃ物足りないか…」 「いえ、決してそういうわけではありませんがこういうのも見るとなんだか身体を動かしたくなってくるんです」 なんというか、コレは血が騒ぐという現象なのだろうか? やはり武装神姫という名前が付いているだけあってやはり闘争本能(?)は抑えられないということなのだろう。 「そうか、ま今日は無理だろうけど今度、な」 「でも、マスターが争いを嫌うということであれば無理をしていただかなくても…」 「いや、俺は最初はバトルメインで神姫を扱おうとおもってたけどお前がピ○チュー好きだとか言うもんだからてっきりそういうのは苦手だと思ってた。」 「じゃあ、マスターも?」 「そりゃそうだ。仮に着飾ったりするだけならおまえを買ってきたときに一緒に買えばいいんだし。 ということで今度から大会も視野に入れてがんばってみるか?」 「はい、マスター」 そんなこんなで俺とリンは新たな決意をしたわけだ。せっかくのバトルのお手本が目の前にいるのでそちらに視線を戻す。 さすがにガチの接近戦だとセカンドアームのパワーの分不利と踏んだのか、マオチャオが戦闘スタイルを変えた様だ。 アーンヴァルのパーツの飛行能力を駆使して縦横無尽に戦闘フィールド内を翔ける。 そしてマオチャオの特殊武装。 プチマスィーンが姿を現した。こいつで牽制をして決め手のドリルをお見舞いするようだ。 一方ストラーフはこのスピードに対抗することが出来ないので構えを正し、ドコからの攻撃にも反応できるように神経を集中している様だ。 いつの間にかストラーフの右のセカンドアームに黒い刀身の大剣が握られている。 見たところ装備されていたサーベル等を組み合わせると一振りの大剣になるらしい。 コイツのオーナーはFF7ACに感化されていると見た。 しかしほかに装備は無い。コイツだけで勝負を決めるつもりだ。 マオチャオが急旋回して突っ込んでくる。そして反対からはプチマスィーンが砲撃をしてくる。 プチマスィーンの砲撃は1発当たりのダメージこそ少ないものの、確実に集中力を奪い、かつダメージも塵も積もれば山となるといった感じで馬鹿に出来ない。 ストラーフは後方から来るプチマスィーンには目もくれずマオチャオに向かって跳ぶ。 が右手にはあの大剣は見当たらない。と思った瞬間に爆発音。 後方でプチマスィーンが爆発していた。残骸に突き刺さっていたのは無数の刃。 あの大剣は瞬時に分解可能らしく、分解途中の状態で投げればバラバラになりながら刃の壁ができるというわけだ。 しかしストラーフ本体にはあのドリルに対抗しうる武装が無い。しかし2体の距離はゼロに近づく。 ストラーフはセカンドアームを。マオチャオは両腕のドリルをお互いに叩きつけようとする。 そのまま2体が正面からぶつかり、お互いにフッ飛ばされて着地した。 が立ち上がったのはストラーフの方だけだ。 セカンドアームは完全に砕け、ヒジから先がなくなっていた。 マオチャオモデルはドリルこそ無事だがメインユニットの胸部に小さなナイフが刺さっている。 同時に今までで一番大きな歓声と拍手が起こる。 決着のシーンのスロー映像が再生される。 2体が激突する前。ストラーフの左のレッグパーツから例のナイフが飛び出した。それはマオチャオの胸に向かっていく。 マオチャオの右腕のドリルもまっすぐにストラーフのメインユニットの腹部を狙っていた。 がストラーフのセカンドアームが右腕のドリルに生拳突きを食らわす。もちろんセカンドアームは破壊されたがドリルの軸がずれた。 マオチャオの左腕のドリルも反対側のセカンドアームで空手の受けの形で何とかそらす。が左腕のドリルはストラーフのリボン、武装マウントを完全に破壊、そのままセカンドアームの基部も綺麗に抉っていた。 普通ナイフがぶつかる程度ではマオチャオの胸部装甲は貫けないが2体のスピードが余りに速かっためか、ナイフはストラーフのメインユニットがその腕で少し力をかけるだけで簡単にソレを貫通していた。 今回の勝敗の分かれ目はマオチャオはドリルに頼りすぎたこと、あとはセカンドアームを犠牲に、しかも運に結果は左右される戦法を選択したストラーフの度胸だろう。 やはりS級同士の勝負となると迫力が違う。 こんな感じで『舞装神姫』は最後のステージを見ると決め。残りのエキシビジョンマッチも食い入るように見ていた俺とリンだったが、全てのエキシビジョンマッチが終わったところでステージにコンパニオンと思われる女性が立ち、こう言った。 「エキシビジョンマッチはいかがでしたでしょうか? コレを見てバトルに興味を持たれた方もいらっしゃると思います。 今回はエキシビジョンマッチの展開が速く、予定時間より1時間も早く終了してしまいましたので急遽ビギナーユーザー様限定の新人戦トーナメントを行いたいと思います。参加は6名まで。 まだバトルユーザー登録されていない方、もしくは登録したがまだ大会には出たことが無いというユーザー様限定になります。今回はデータを使用してのバーチャルマッチになりますのでお客様の神姫やパーツに傷が付くことはありませんのでお気軽にご参加ください。」 これを聞いたリンが俺に顔を向けてくる。 「マスター!!」 「ヤル気だな。いっちょ参加してみるか。」 こうして俺とリンのバトルユーザーとしての第1歩が踏み出されることとなった。 ~燐の4 「予想外の初陣」~
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/258.html
二つ名 辞典 各作者様の登場人物紹介から抜粋させていただきました。 なお、Wikiに登録及び出演しているキャラクターのみです。 また、新キャラや新たな二つ名誕生の際は各作者様ご自由に更新OKです。 [非]= 非公式バトル [ロ]= ローカル(一部地域でのみ通用) [自]= 自称 《マスター編》 《G》・日暮 夏彦 HOBBY LIFE,HOBBY SHOP [非]《屍ケン》・ケン Mighty Magic 《死の恐怖-スケイス-》・橘 明人(アキース・ミッドナイト)橘明人とかしまし神姫たちの日常日記 《ソードマイスター》・浅見 秋人 春夏秋冬 《Dコマンダー》・日暮 秋奈 HOBBY LIFE,HOBBY SHOP [ロ]《公式武装主義者(ノーマリズマー)》・マイティのマスター Mighty Magic 《破壊大帝》・日暮 秋奈 HOBBY LIFE,HOBBY SHOP 《神姫編》 《紅き目の狙撃手》・十兵衛(銃兵衛) 凪さん家の十兵衛さん 《うさ大明神様》・ジェニー(ジェネシス) HOBBY LIFE,HOBBY SHOP 《Encount Striker》・ジェニー(ジェネシス) HOBBY LIFE,HOBBY SHOP [非]《クリムゾンヘッド》・シエン Mighty Magic 《紅の牙》 アリア ・ねここの飼い方 《紅の剣客戟》・十兵衛(真・十兵衛) 凪さん家の十兵衛さん 《見敵必殺の神姫 》・ジェニー(ジェネシス) HOBBY LIFE,HOBBY SHOP 《黒衣の戦乙女》・リン 武装神姫のリン 《銃剣士(ガンブレイダー)》・ミコ 橘明人とかしまし神姫たちの日常日記 《十兵衛ちゃん》・十兵衛 凪さん家の十兵衛さん 《神速の紅眼》・十兵衛 凪さん家の十兵衛さん 《スピットファイア》・アガサ ねここの飼い方 《青龍》・ベルセルク HOBBY LIFE,HOBBY SHOP 《隻眼の悪魔》・十兵衛 凪さん家の十兵衛さん 《B3(ビーキューブ)》・バーニング・ブラック・バニー 《紅霧の剣》・十兵衛(真・十兵衛) 凪さん家の十兵衛さん 《雷龍剣(サンダーソード)》・ベルセルク HOBBY LIFE,HOBBY SHOP 《乱射魔(トリガーハッピー)》・コニー 岡島士郎と愉快な神姫達 《緑色のケルベロス》・ノアール 橘明人とかしまし神姫たちの日常日記
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/8416.html
『ラビリンス ライフ』に「判定不一致修正依頼」にて判定と記事内容の不一致が指摘されています。対応できる方はご協力をお願いします。 オメガラビリンス ライフ / ラビリンス ライフ 【おめがらびりんす らいふ / らびりんす らいふ】 ジャンル ローグライクRPG×スローライフ 対応機種 Nintendo Switchプレイステーション4Windows(Steam) 発売元 D3パブリッシャー 開発元 マトリックス 発売日 【Switch/PS4】2019年8月1日【Win】2019年12月10日 定価 【Switch/Win】 通常版 7,800円 デラックスエディション 9,800円【PS4】 通常版 5,800円 デラックスエディション 7,800円(全て税別) レーティング CERO D(17才以上対象) 判定 良作 ポイント 胸ふくらむ乳(NEW)学園生活!ダンジョン探索と学園内の花の世話が楽しめるプラットフォーム間の演出格差が問題視 オメガラビリンスシリーズ無印 / Z / ライフ 概要 ストーリー 登場キャラクター 特徴 評価点 賛否両論点 問題点 Switch版とPS4版間の演出格差 その他問題点 総評 余談 概要 『オメガラビリンス』『オメガラビリンスZ』の続編。 本作は、洞窟や庭園などを冒険する正統派なローグライクRPGと、乙女たちが通う「ベルフルール女学園」でのスローライフ、 さらには、このシリーズで強く主張している「おっぱい」の要素を合体させてゲームシステムを展開している。 また、初代や前作とは別で登場キャラクターやデザインを一新し、真新しいストーリーとして製作されている。 ゲームの雰囲気としては、『ドラゴンクエスト 少年ヤンガスと不思議のダンジョン』に近い。 PS4とSwitchで同時発売されているが、タイトルと価格、そして、「一部の仕様」が異なっている。 ストーリー ここベルフルール女学園にはとても大きく美しい大庭園がある。 その大庭園は中央に咲く聖花「フローラ」が発する不思議な力によって、永遠に美しい花が咲き続けるという伝説があった。 超お嬢様学校であるこの学園に、創立以来初めての転校生がやってきた。 彼女の名前は「紅月ひなた」。 これからの新たな学園生活に期待で胸をふくらませるひなただったが、 彼女が転校してきた翌日、今まで枯れることのなかった大庭園の花が、突如としてすべて枯れてしまう。 自分たちの誇りであり、夢をかなえる為の心の支えにもなっていた美しい庭園を失い、動揺する生徒たち……。 美しい大庭園を再び取り戻すため、ひなたたちはそれぞれの思いを胸に秘め、聖洞の冒険に挑むのだった――。 登場キャラクター 紅月ひなた 今作の主人公。学園初めての転校生であり何事にもポジティブ。 黄蓮寺鈴音 いつも元気な女の子。多くのことに興味・関心を持っている。ちなみに名前の読みは「べるね」。 黒崎冥 ほかのみんなに対していつも強い口調。自分自身が強い力を持っていると言い張っている。 藍刃澪 スタイルはとてもいいがほぼ無口。 銀城七海 クラスの学級委員。何事にも完璧主義。 水瀬樹里 学園内の自称アイドル。また、第2の主人公的存在。 紫咲由梨香 学園一のゴージャスボディの持ち主。みんなのお姉さん的存在。 久遠凛華 外見は子供っぽいが、学園の理事長。 久遠柚結 大庭園でお庭番をしている双子の姉。 久遠桃萌 大庭園でお庭番をしている双子の妹。 ネム 友達の「青い薔薇さん」を探して聖堂に迷い込んだ妖精。 パイ 前作品に登場した妖精。今作で唯一の登場。 聖花フローラ 学園の花の精霊。成長すると姿が大きく変わる。 その他の精霊 聖洞を守る精霊たち。風花の精霊、氷花の精霊、烈花の精霊がいる。 アルラウネ 花の女王を名乗る妖花。黒幕的存在だが… 特徴 共通項目 ωパワー 読み方は「オメガパワー」。 このゲームの「第1の通貨」となる存在。 基本的にダンジョン内で敵を倒すと入手できる、女子力を具現化した未知なる力。 学園内、ダンジョン内でのメインアイテムの購入など、様々な用途で使用できる。 みつ このゲームの「第2の通貨」となる存在。 基本的にお花のお世話をして、時間を経過させることで入手可能。キャラクターのステータス強化などに使える。 育てたお花の数と状態によって獲得量が増減する。 ロッカー 持っておきたいアイテムを保存するために使用する施設。メニュー内から選べる。 お買い物・拡張 学園内の「購買部」ではωパワーでアイテムを購入または売却したり、冒険が有利になる機能(*1)を増やすことができる。冒険のヒントも聞くことができる。 ダンジョン内にもショップがあり、部屋の中の欲しいアイテムを拾って店員である理事長と話すことによってそのアイテムを買うことができる。また、いらないアイテムを部屋の中に置いてから話すことによってそのアイテムを売ることができる。 ショップの出入り口が塞がれないので「うっかり」を防ぐために、未購入アイテムを持っていたり未売却アイテムを置いていたりしたままショップを出ようとするとお会計を訊かれる仕組みにもなっている。 それでも未購入アイテムに対して支払いを拒否した場合、凄まじい強さを持つ理事長が襲い掛かってくるので非常に危険。 ローグライク ダンジョン まず、スタート時に「リーダー」として使用キャラクターを選ぶ必要がある。次に、「パートナー」として一緒に冒険してくれるキャラクターを一人選べる(パートナーはなしでもOK)。リーダーとパートナーはいつでも交代できる。 ダンジョン内にはωパワーを持ち込むこともでき、持ち込む量も選べる。 ストーリーに準じて次の行き先が指し示されている「ストーリーダンジョン」、本編クリア後に挑戦可能で、制限がかかって難易度が高くなった「チャレンジダンジョン」、手順を考えてクリアを目指す「賢者の試練」 これら3つのカテゴリに分けられており、B1Fから下っていくタイプと、1Fから上っていくタイプのダンジョンがある。 レベル ダンジョンの冒険を始める際は必ずLv1からスタート。 敵を倒して「経験値」を獲得するとレベルが上がってステータスが強化されるが、ダンジョンクリア後に次のダンジョンへ入ると再びLv1からスタートとなる。 バストサイズ レベルとは別にステータスが強化されるシステム。 敵を倒したときに入手できるωパワーの数値によって、画面左上のアルファベットで表示されているゲージが溜まっていく。ゲージが満タンになるとキャラクターの胸が大きくなる演出が入り(*2)、ゲージが次のアルファベット表示になる。 Aが一番下(*3)、Zが最大。デフォルトではキャラによって表示が異なる。 新要素としてLに達すると「ハイパーL化」が発動し、使用キャラクターの姿が巨大化する。 バストサイズにM~Yの表示はなく、Lの次はZになる。Zに達すると非常に強力な「ハイパーω斬り」を使用できる。 アイテム アイテムの所持上限は一度に30個。 装備アイテムには、「武器」「盾」「下着」がある。武器は種類によって物理攻撃か魔法攻撃かが異なり、盾や下着は物理防御力や魔法防御力を上げることができる。また、これらには下記の合成や花練成で付着できる特殊効果のスロットが最大で4つ実装されている(0の場合もある)。 投擲アイテムには「石」「爆発岩」「矢」「弾丸」がある。離れた敵にダメージを与えたいときに便利。中には属性魔法の宿った矢も存在する。 補助アイテムには「本」「杖」「薬」「パン」「巾着」がある。本は周辺を攻撃したりキャラクターをサポートしたりと、名称によってさまざまな効果を発揮してくれる。杖は基本的に、敵に悪性状態異常や大ダメージを与えられる(*4)。射程は10マス。薬は自分で飲んで回復や良性状態異常の付与ができるほか、敵に投げつけて悪性状態異常の付与もできる。また、持っているだけで対象となる事態に陥った時に発動する薬もある。パンはお腹がすいた時に使うアイテム。HPの下のお腹ゲージが0になるとHPが1ターンごとに減ってしまうため、拾ったり持ち込んだりして確保しておくことが重要。食べると様々な状態異常を発生させるパンもあれば、お腹の回復と特別な効果を持つ「お弁当」もある。巾着には、別のアイテムを入れてアイテムの所持数を増やせる「保存の巾着」が代表的。入れたアイテムに変化をもたらす巾着もある。 ターン ダンジョン内では1つの行動を1ターンとして消費。行動順としてはリーダー(操作キャラ) → パートナー → 敵の順となる。別行動している味方キャラは2ターンに1回行動する。 1つのフロア内にはターン数に制限があり、制限ターン数に達するとフロア内に「死神」が現れる。1ターンに2回行動し、体力攻撃力ともに凄まじい強さを持っており、基本的には近づかれる前に次のフロアに逃げなければならない。なお、制限ターン数が近づくと2回まで「生ぬるい風」として警告してくれる。 合成・花練成 「合成」は、装備アイテムの強化値を増加(*5)させたり、アイテム効果を使用したい装備アイテムに付着することができる。 特定の組み合わせで新しい装備アイテムに作り替えることができる「特殊合成」もある。 「花練成」は、使用したい装備アイテムに好きなアイテム効果を付着することができる。付着させるには庭園で入手できるお花のアイテムが必要となる。 どちらもωパワーを必要とされ、学園内の「第1校舎」で実行可能。合成はダンジョン内でも可能だが花練成は学園内のみ。 温泉 HPと悪性状態異常を回復できる便利なギミック(*6)。入浴イラストも見ることができる。 更に特別な効果を持つ「花湯」も存在する。 スキル 後述の「開華(悶絶開華)」によってキャラクターを強化することで、好きなタイミングで発動できる。内容はキャラクターごとに異なる。 それぞれに使用回数が定められているが、バストサイズが1つ上がることによって1回分回復できる。 ワナ そのままでは表示されず、ダンジョン内の至るところに隠されている。悪性状態異常の発生やダメージ、ステータス変化など厄介なものが多い。 公式で語られている通りに前作品とくらべて1フロア内のワナの数が減ったとはいえ、対策なしでは引っ掛かりやすい。隠されている場所を攻撃すると表示される。 最初から配置されているのが見えていてダメージを受けるなどの床も存在する。 ミッション 「特定の敵を倒す」「敵を指定数倒す」「指定されたアイテムを使う」「指定されたアイテムを持ち帰る」など、各ダンジョンに対して指定されたミッションが表示されている。 表示されたミッションを全てクリアすると(*7)、ωパワーを大量に獲得できる。 中断 冒険の途中でプレイを一旦終わりにしたい時に使用しなければならないコマンド。これを実行せずにゲーム終了や電源をOFFにするとゲームオーバー扱いになる。 ダンジョンリザルト 操作キャラクターのHPが0になるとゲームオーバー。力尽きた原因が表示され、所持していたアイテムは全てなくなってしまう(*8)。 ゴールの光を調べたり、ボスを倒すとステージクリア。最新のストーリーダンジョンをクリアすると次のストーリーダンジョンに進める。 スローライフ 一日の流れ 画面左上に時計が表示されており、長針と短針が12時の位置からスタート。長針が1周すると短針が次の位置に移り、短針が再び12時の位置に来ると1日が終了する。次の日には上記の「みつ」を獲得できる。 みつを使用することで時計の時間をすぐに経過させることも可能。 歩き回る・会話 スティックで学園内を移動できる。いつも学園内のどこかに光っている場所があり、調べることでアイテムをゲットできる。 学園内のキャラクターと会話ができる。また、「依頼」をされることがあり、引き受けた場合は指定されたアイテムを渡すことで別のアイテムと交換してくれる。 庭園でお花のお世話をする 初期状態ではお花が枯れているため実行できないが、ストーリーを進めると再び庭園内のお花が咲いてくれる。 咲いているお花の前を調べることで、どのお花を新しく咲かせるか(どのタネを蒔くか)、種を蒔いた後にどのお水をあげるか(*9)を自由に選択できる。庭園の真ん中にある掲示板からもお世話ができる。 一定時間が経つ(*10)とお花が新しく咲いて周辺に光が出ており、その状態で調べると、「花実(*11)」「ブーケ」「パルフェ」といった、育てたお花の種類と同じ名称のお花のアイテムを入手できる(*12)。これらのアイテムは、上記の合成や花練成で必要となる。 お花のアイテムは「園芸部」から「みつ」を使用して買い取ることも可能。また、ダンジョン内で「お花畑」が設置されていることがあり、光っている場所からタネを入手することも可能。 一定期間お花を植え替えていないと「雑草」が生えてくる。この状態が続くと獲得できるみつの量が減ってしまうため、気が付いたら引っこ抜いておくといい。 学園のレイアウトを変更 「庭園管理室」に立ち寄れば、ωパワーを支払って学園内の雰囲気(*13)を自由に変更できる。また、既に置いてあるオブジェを調べたり、庭園の真ん中にある掲示板で選ぶことでその位置に置くオブジェの種類、向きを変更できる(*14)。 ストーリーを進めながらレッスンを受けることで使えるレイアウトやオブジェの種類が増える。 放課後 一日が終了すると、メインキャラクター達が楽しくお話している。各キャラクターの様子を見ることで新しいイベントを見ることができる。 思い出を振り返る 「礼拝堂」に立ち寄れば、今まで見たイベントや、アイテム、モンスターの図鑑などをいつでも見ることができる。 セーブ・ロード 「学生寮」でゲームの内容を保存したり読み込んだりできる。ネットワークに接続してサーバー上にデータを保存することも可能。 あらかじめサーバー上にデータを保存すれば、取り返しのつかないことになってしまった時に挽回が可能(*15)。 その他 鑑定 「第2校舎」やダンジョン内で実行できる。アイテムの中には赤文字+よく分からない表示で出てくることが多く、アイテム1つにつきωパワー100ポイントで判明させることができる。詳しい内容は後述。 開華(悶絶開華) 「温室」で「みつ」を使用してキャラクターのステータス強化を行えるほか、お花のお世話に使える「しずく」を入手できる。詳しい内容は後述。 前作までと違い失敗がなくなり、最低ランクが成功となった。 じゃんけん・虫取り 「じゃんけん」は学園内でアイテムを入手、ダンジョンでゲームオーバー時の救済チャンスやステージクリア時のボーナス獲得といった要素で使用される。ダンジョンで実行する場合はダンジョン内のお花畑に隠されている「じゃん券」が必要となる。「虫取り」は聖花フローラに集まってきた虫たちを取り払うことで「みつ」を受け取れる。どちらも詳しい内容は後述。 前作のPTA(パイタッチアクション)に加えて、なでなでタッチアクション(NTA)が追加。こちらは頭を撫でる。 なお幼女姿のフローラと凛華はPTA非対応。 評価点 美麗な映像表現。 学園内を表現しているマップの3D構造やお花のデザイン、バリエーションが多いダンジョン内の構成がとても良く作り込まれている。 キャラクターの作りも3Dモデルとイラスト、どちらにしても精密に作り込まれており、会話イベント中の背景画像も雰囲気がいい。 オブジェのバリエーションが豊富。 学園内に自由に設置できるオブジェは、好きな場所に置くことでいつでも学園内の雰囲気を大きく変えることができる。 和風、ハロウィン風、氷の街、パラダイス、機械仕掛けといった多くの構成で着飾ることも可能であり、気分に合わせて変更するのも楽しみの1つである。 使用可能な個々のオブジェのに解説が記載されており、それの内容もなかなかおもしろい。 音楽が優良。 学園内やダンジョン内などそれぞれの音楽で雰囲気は似ているが、場所や状況にほどよく合わさっているのでいい意味で耳に残りやすい。 「お花を育てる感覚、大切さ」を軽く楽しめる。 庭園に咲いているきれいなお花を好きなように植え替えることにより、「命の大切さ」を学ぶこともできる。時間をかけていつでも再びお花を咲かせることができることはプレイヤーの心を癒してくれる。必要な時にお花のアイテムを入手することによって冒険が楽になり、まさに一石二鳥。 ストーリーダンジョンの難易度が親切。 現在の状況に合わせたダンジョンは、敵が強すぎたり冒険を極端に苦しめるようなことが割と少ないので、油断さえしなければそこそこクリアしやすい。 何もしないで簡単にクリアできるほどの難易度とはなっておらず、ストーリーが進むほどに少しずつ難易度は上がっていくため、各ダンジョンでアイテムを的確に揃えたり、開花によって好きなキャラクターをある程度強化しておくなどの対策は必要。これによってゲームバランスの崩壊は防がれている。 花練成によるアイテム効果が優秀。 ダンジョンの攻略が難しく感じてきた場合、装備しているアイテムに「〇〇を防ぐ」などの効果が多数あり、苦手意識のある危険な効果をガードすることが可能。材料とωパワーを駆使して冒険を楽にできる。 特に終盤や難関ダンジョンで必須レベルとなるものは、悪性状態異常を全て無効化できる「加護」と、ワナや浮島(*16)を乗り越えられる「浮遊」など。 ダンジョンで使える「食べ物」が便利。 お腹ゲージが減ってきた時に必要となるパン系のアイテムは、お腹ゲージを回復するだけでなく、HPも回復できる。それだけに留まらず、冒険の手助けをしてくれる便利な効果を持つパンも多い。 特に、各キャラクターのイメージを模した「お弁当」が優秀。条件を満たすことで好きな時に学園内の「調理部」から受け取ることができる(*17)ので、思う存分に活用するといい。 前作の不満点がことごとく解消済み。 前作では「難しい」を通り越して「面倒くさい」という要素がかなり多かったのだが、命中率の低さや罠の多さなど名指しで改善点として発表された要素が多く、かなり遊びやすくなっている。 DLCが優秀。 DLCで使用可能になるダンジョンには、それぞれ「装備品の強化値を高める本」「ωパワー」「タネ」を大量に入手できるダンジョンがある。上手に活用できれば冒険をかなり有利に進められるだろう。 メインキャラクターの着せ替えイラストや、初代と前作、今作のキャラクターソングも楽しめる。いずれもきれいなデザイン 良曲揃いなので是非とも導入を推奨。 学園内での他愛のない話も楽しい。 他の生徒が2~4人でお話ししていたり、特定の生徒がそれぞれ、お腹をすかせて料理名をつぶやいていたり、占ってくれたりと、軽く会話を交わすだけでも十分に楽しめる。また、放課後イベントでのメインキャラクター同士の会話の種類も豊富で、それをコレクションする楽しさもある。 友達を大切に想う、素敵なストーリー。 メインストーリーを進めることによって、「大切な人を助けたい」「友達に頼れる力になりたい」など、我々が普段意識できないような「みんなの目標のために協力する」ことや「互いの気持ちを理解する」ことの大切さを実感できるだろう。 特にチャレンジダンジョンでは各メインキャラクターの「深層心理」が映し出され、「自分が抱えている悩みに対する友達のフォロー」「心の中に抱えている強い意志」を熟読することによって、全てに感銘を受けるものとなる。 賛否両論点 ダンジョンに極端な難易度差がある。 公式のQ A動画に表示されている通り、メインストーリーのクリアだけなら難易度はそこそこ低めではあるが、チャレンジダンジョンの難易度が場合によってはかなり凶悪である。 どちらかと言えばアイテムの持ち込みやパートナーとの協力プレイができないことが多いため、慣れていない人にとってはシステムを受け入れられないかもしれない。 特に、そのルールが定められた上でフロア数が多いダンジョンはかなりの高難易度。アイテムやパートナーがOKでも強敵が極端に多くて想像以上に苦戦する可能性も十分高いため、逆にアイテムの持ち込みとパートナーの同行ができないダンジョンのクリアを先に目指した方が楽な場合もある。 場所によっては、ボスに匹敵する強さのモンスターが通常モンスターとして出てくる場合がある。僅かではあるが、彼らがダンジョンの序盤で出てくる場合もあるので十分注意。 一方で賢者の試練は、基本的にアイテム持ち込み不可だがクリアだけであれば特定のスキルでズルい突破ができることも。 コンプリート要素としてミッションでは「スキル使用禁止」が表示されているため、正規の方法で突破しなければならない使命感も出るかもしれないが。また、中で拾ったアイテムは持ち帰れない。 ストイックモード 全てのダンジョンをクリアするとこのモードに変更できるようになる。非常に強力な装備を入手した想定のせいか、今までクリアしたダンジョンがミッションもろとも初期状態に戻されており、全キャラクターのスキルも初期状態で挑まなければならない。特にアイテムを持ち込めないダンジョンは達成が無理に近い。 直後に通常モードに戻しても今までクリアした記録が初期化されることはないので、無理してトライする必要はない(*18)。 ハイパーL化、ハイパーω斬り バストサイズがLになると自動的に発動するハイパーL化には、有利な点と不利な点が存在する。 この状態では一定時間の攻撃力が上がり、攻撃した敵を後ろに吹っ飛ばす力がつく。また、悪性状態異常とワナの発動も無効化できる。 一方でスキルが使えなくなる、花練成で付着させた有利な状態変化が無効化される欠点もあるため、場合によっては意識していないと思わぬ悲劇を招くことがある。 ハイパーω斬りは前方3列、10マス先までに敵に対して絶大な攻撃力を誇る力を発動し、ワナも抹消できる。 しかし、効果範囲内のアイテムも消えてしまうため、目の前に欲しいものや大事なものを置いたうえで敵に対して使うと悲劇を招く可能性が高い。 また、使用後はバストサイズが初期状態に戻ってしまうため、必然的にステータスが下がる。使用前のステータス状態の感覚で強敵に挑んだ場合、油断するとやられてしまう可能性も。逆にバストサイズが戻った場合は再度の上昇が高くなるため、スキルの使用回数を大きく回復したいときに使えると言ってもいい。 以上のことを踏まえ、発動する場合は「タイミング」と「向き」が非常に重要となるので、使いどころをしっかりと考慮する必要がある大技とも言える。 ちなみに効果に変わりはないが、発動時に設定している妖精が大声を出す場合がある。それに対して某聖戦士の「耳元で叫ぶな!」もとい「うるさーい!」と言うことが多い。 花珠(はなだま) 花練成にはそれぞれのお花を育てて獲得できるアイテムの他に、金色に光っていて楕円形の形をしている「花珠」が必要となる。このアイテムはお花を育てた後にアイテムを収穫すると一緒についてくるのだが、正確な入手法は分かっていない。 足りないときはタネを多めに蒔く、効果の高いお水をあげるなどの工夫が必要。特に序盤が厳しいが、タネやωパワーが大量に手元に残っていれば楽に集められるかもしれない。 「みつ」の効率について 7人のメインキャラクターのステータスとスキルレベルを強化させるのには「みつ」が大量に必要だが、いい効率が見つけ出せないと最大までの強化に苦戦しやすい。 能動的に集める手段がほぼなく、前作のチチは悶絶香を集めるスキルがあったが、ネム、パイに同種のスキルはなく、DLCダンジョンでもみつを集めることはできない。 + 自力で見つけたい方はスルー推奨 ストーリーの進行状況によって使用可能な庭園の数が多いほど、それによって育てているお花の数が多いほどみつを多めに獲得できるが、みつを獲得できるのは花時計で一日が終了して翌日を迎えてから。 仮に庭園のお花を全部埋めて雑草なしの状態で待っていても壊滅的に時間がかかり、獲得量としても全体の1/25以下。花時計を進めようにも逆にその半分の量を消費することになるため効率が悪い(雑草を放置するとさらに時間がかかってしまう)。 公式では冒険に出なくても簡単に育成できると記載されていたが、1日の始まりや冒険から帰ってきた後には学園内の光が復活する。 庭園の真ん中の光で必ずみつを獲得できるのでそれを繰り返し実行したり、フローラの虫取りイベントをこなすことで短時間で多くのみつを獲得できる。結局は軽く冒険に出たほうが早い。 ゲーム序盤で主人公が悲劇の犯人扱いされてしまう点 『スーパーマリオサンシャイン』ほど酷いものではないが、上述の通り学園内の庭園のお花が全て枯れてしまう。それに対して主人公のひなたが何人かに「庭園を枯らした犯人」と言われてしまう。 自分への疑いを晴らすためと、大好きな庭園を取り戻すために冒険が始まるのだが、突然の展開に戸惑う可能性も十分ある。 前作までのキャラクターはほぼ未登場。 今作では世界観やゲームシステムが前作を引き継いでいるが、ストーリー自体は繋がっていない。 前作まで登場していた「パイ」はここでも登場するが、基本的には真新しいゲームとして存在自体を知らない人でも楽しめる。一方、前作以前をよく知っている人にとっては舞台やキャラクターの一新に違和感を感じるかもしれない。 + とは記述したものの…… 実は、ストーリーが進んだ時に登場するパイは元々の学園にいた時の記憶を鮮明に持っており、その時の仲間について語ることがある。会話イベント以外でたまに「ひなた達と愛那(前作以前の主人公)達はきっとすぐに仲良くなれる」と語ることがあり、今後の作品に何か進展はあるかもしれない。 一方で理事長も前作の舞台について何らかの関係性を持っており、ひなたに対しても何か打ち明けられない秘密を持っている模様。会話イベント内で答えを明かされることはなく、謎のままに終わっている。 絵師の変更 イラストレーターが変更されている。好みの問題ではあるが、前作までの作風を好むファンからは不満の声もある。 問題点 Switch版とPS4版間の演出格差 そもそもタイトルに「オメガ」がつかない ωを胸に見立てたタイトルやωパワーからもわかるとおり、本シリーズで重要なのはオメガであり、それを削除するあたり、本作の扱いの差が見て取れる。 両タイトルの主題歌『Life is a Labyrinth』では、思い切り歌詞で「オメガラビリンス」と歌っている。 「鑑定」について ダンジョンに落ちているアイテムは全てωパワーの塊と言われているが、形が変化する途中のアイテムがたくさん落ちている。それらは「不確定結晶」と呼ばれている。そのまま使うことも可能であるが、ωパワーを注ぐことで本来の姿に戻すことができるという。のだが…ωパワー自体は乙女たちの胸に溜まっており、不確定結晶にはωパワーを注ぐ必要がある。つまり、不確定結晶を胸に挟んでこする必要があるという。しかも、それ自体は細長くて柔らかい棒状の形をしており、コマンドを入力して胸を動かすことで徐々に伸びていく。最大まで伸びきったら白い光を発してアイテムが判明するというもの(胸に挟むアイテムも選べる)。これを聞く限りではプレイヤー達が興奮するような内容であるが、PS4版ではその演出を一切見ることができない。だが設定や会話自体はそのままバージョン問わず鑑定が終了すると結果となるアイテムが表示され、鑑定したキャラクターが恥ずかしそうにしている(*19)。鑑定は胸に挟んで行うという会話自体はしっかりあるため、まるでエロシーンだけカットされてCS移植されたエロゲのようである。 ある程度冒険を進めると妖精でアイテムを鑑定することも可能。妖精が2人でオブジェに手と体を密着させて上下に動く。もちろんこれもPS4版では閲覧不可。 「開華(悶絶開華)」について 各キャラクターの初期ステータスを強化するために「みつ」を使用することによって、選択したキャラクターとシチュエーションで妄想の世界にダイブするという。 画面内のマーカーをタッチしたり、乙女の身体を何度も触ることで喘ぎ声が聞こえてくる。最後には大量に水が飛び出したのち瓶の中にピンク色の液体が注がれるという、説明では分かりづらいが非常に過激な内容。 終了後は台詞とともに指定したスキルへのスキルゲージとキャラクターのイメージに沿った「しずく」を入手できる(*20)。なのだが、PS4版では最初の画面から演出が変化せず、コマンド1つで終了してしまう(*21)(結果はスキップと同じ)。一応ギャラリーでいつでも演出は見られるが、過激な内容は表示されていない。 「じゃんけん」について 少し冒険が進むと精霊がじゃんけんを教えてくれるが、その内容は手ではなく胸で行うもの(*22)。具体的にはダンジョンをクリアした時のωパワーやタネを多く入手できるチャンス(*23)や、ゲームオーバー時に「負け」にならなければアイテムの消失を回避できる。本来は上記の鑑定と同じイラストで勝負を行うが、PS4版では普通に会話時のイラストで表示される。 ちなみに学園内でもキャラクター同士でじゃんけんを行うことが可能で、結果に応じて入手できるアイテムが変化する。 その他 聖花フローラに集まってきた虫を取り払うために手のカーソルを移動させてタッチイベントを楽しめることもあるらしいが、PS4版では手のカーソルがなく、コマンド1つで終了。 キャラクターの入浴中イラストに手のカーソルでタッチして反応を見たり、冒険中や会話中のイラストにも手のカーソルでタッチできるらしいが、PS4版では未実装。 同様にPTA及びNTAも非対応。 まとめ 以上のようにPS4版は軒並みお色気演出がカットされており、その上テキスト面の変更もないため多くのプレイヤーに不満と不自然さを与える結果となった。 PS4版がこのような仕様となった点については本作発売前よりソニー製プラットフォームで行われていたセクシャル表現規制及び、前作の海外版発売中止騒動が背景にあると見られている。 なお、この格差を意識した本作の広告については「上手いこと考えてる」として好評(*24)。 その他問題点 「転倒」でピンチに陥りやすい。 ダンジョン内の「水たまり」や、バナナの皮のマークが刻まれた「転びのワナ」によって転倒してしまうと、所持していたアイテムを周囲にばらまいてしまう。 特に「巾着」を落としてしまった場合は高確率で破けて使えなくなり、入っていたアイテムがさらに分散してしまう。これによってアイテムの所持量を圧迫することとなる。 考えを甘く見ていると唐突に悲劇を招き、冒険が一気に不利になってしまう。水たまりの上にアイテムが置かれていることもあり、巾着をたくさん活用する場合は序盤から対策必須レベルと言えるほど。この要素に限って初心者向けにしてはあまりにも理不尽すぎる。 巾着のコマンドが不便な点もある。 巾着にアイテムを入れたい時は入れるアイテムを選ぶことになるのだが、装備中のアイテムも表示されてしまう。そのため、間違って装備アイテムを保存の巾着以外の巾着に入れてしまう恐れがある(*25)。 別のアイテムを選んで「巾着へ」コマンドを決定したり、保存の巾着を見てアイテムを取り出すと、アイテムリストのソートが自動的に「巾着」になる。これによって巾着に入れていないアイテムを探しづらくなってしまう。 保存の巾着は入れるアイテムの種類を決めるなど、目的に応じて好きなように名前を付けることができるのだが、あくまでも名称が"保存の巾着"であるためか、名前を付けた保存の巾着を名称順にソートできない。名称関係なく容量順、入れたアイテムの個数順にソートされる。 ブラ・パンツの特殊効果を付けられるスロット数 装備アイテムには最大で効果を4つ付着できるのだが、効果を3つ~4つ付着できるブラ・パンツが全く存在しない。というのも、ブラ・パンツは両方とも"下着"扱いであり、「装備部位それぞれのアイテム効果は最大で4つまで」となっている弊害による仕様である。 「防止」系の効果や上記の「加護」「浮遊」が下着にしか付着できない仕様になっているのも手伝って不便さを感じるかもしれない。 装備で付着した特殊効果の確認ができない。 冒険中は「ステータス」の「身体検査」で現在発生している状態異常を確認できるのだが、花練成や装備のセット効果で発動している良性状態異常を確認できない(*26)。 花練成の効果にも「常に○○の良性状態異常になる。」としか書かれておらず、効果を理解していないと付着する意味を見つけられないかもしれない。 役に立たない特殊効果がある。 下着には優先的に盗まれるようになる「盗まれやすい」や、バストアップと鑑定とスキルが使用不可になる「つるぺた(*27)」が付着していることがあり、あろうことかどちらも花練成で付着できるようになっている。不便なだけなので装備を売るか、花練成や合成で別の効果に変更した方がよい。 一方、武器に付着できる「壁貫通」は壁の中の敵を攻撃できそうに見えるが、実際は投げたアイテムが壁を通って、敵に当たらなければどこかに行ってしまうだけのものである。 保存の巾着以外で巾着の中身を取り出したいときにこれを付着して投げてしまうと、中のアイテムごとなくなってしまう。石を投げた時は敵に当たったり地面に落ちたりせず、そのままどこかへ飛んで行ってしまう。 壁の中の敵には目の前であれば、壁貫通を付けなくても投擲アイテムや杖、スキルでの攻撃が可能。それで大抵何とかなってしまうため、この効果は役に立ちそうで全く役に立たない(*28)。 一部の武器が現在入手不可。 各メインキャラクターを模して声を発する特別な武器が存在するが、別々の店舗特典なので全部を入手できない(*29)。 それどころか現在はそのほとんどが完売状態となってしまっている。中には要予約のものもあったらしく、物好きな人にとってはまさに絶望的状況かもしれない。 デラックスエディション限定の装備は現在でも一応入手は可能である。 本来いるはずのない敵が出てくることがある。 仲間が敵に倒されてしまうと、その敵のステータスが上がってしまう。つまり、その敵の一段階上の敵に変化してしまうということ。 この段階のダンジョンに合わせた強さとはなっていないため、真っ向勝負をするとかなりの確率で負けてしまう。段階が上の敵には結局先のダンジョンで遭遇することになるため、安全を確保して逃げたほうがいい。 こちらを狙おうとしてスキルを使用した敵が間違って他の敵を倒してしまうこともあり、その場合も強化されてしまう。 庭園コマンド 判定が曖昧であり庭園内にオブジェとお花の両方が置いてあることはよくあり、「お花を植え替えたいのにオブジェを選んでしまう」ということが起こりやすいのも欠点と言える。どうしてもやりづらい場合は、花壇のレイアウトでオブジェを置かないスタイルを選んでもよいだろう。 雑草を取ろうとしてもお花のお世話とコマンド違いが起こりやすい。ただ、お花のお世話コマンドを実行するだけでも雑草は消えるので、タネに余裕があれば結局はお花を植え替えたほうが早い。 種を植える、草を抜く、水を撒くetcといった行動には、必ず見た目上スキップ不可(*30)の演出がいちいち挟まるため、テンポが悪い。 トロフィーに極端な難易度差がある。 ある程度は冒険を普通に進めるだけで達成できるものだが、「わざと死神を呼んで倒す」「ダンジョンショップで万引きに成功する」といった危険が伴う条件のトロフィーもある。特に死神はモンスター、アイテム、合成の図鑑にも絡んでくる(*31)ため、運が絡むこともある。さらに…。 + 自力でクリアしたい方は見ないでください (暫定条件)「全てのストーリーを見た」を達成するには、ストーリーとサブ会話イベント、各メインキャラのチャレンジダンジョンの会話(計329)を集めたのち、メインキャラ全員のスキルを最大まで上げ、樹里がリーダーの状態でストーリーの最終ダンジョンを再度クリアする必要がある。これによって、「もう1つのスタッフクレジット」が入手できる。その直後は学園で誰かと会話する必要がある。 総評 「学園内で永遠に美しい花が咲き続ける」というコンセプトのおかげで、自然と命の大切さを深く知ることができる素敵な作品となった。 一方でプラットフォーム間の演出面の格差が指摘され、PS4版においてはシリーズの肝であるお色気演出がスポイルされそれら定番要素を期待していたシリーズファンの多くから「買う価値なし」という烙印を押される結果となってしまった。 しかしながら、ストーリーやグラフィック等の完成度の高さに感銘を受けやすく、ダンジョンの難易度差などに評価が分かれる部分こそあれどローグライクRPGとしては十分に良作といえるだろう。 余談 セール情報 次回作等の情報は今のところないが、本作は発売されてから一定期間で何回かセール情報が更新されている。価格は54%OFFが多い。 こちらもSwitch/Win版はツイッターでセール情報が宣伝されるのに対して、PS4版はD3自体のセールの時くらいしか宣伝されない。 PS4版に関して 前作海外版の直前の発売中止は当然ながら公式を相当怒らせたらしく、本作のPV第一弾通称「謝パイ会見」は、ゲームの説明をしながらもほぼソニーに対する嫌味で構成されており、公式の怒りが垣間見える。 Win版 PS4とSwitchで本作が発売されて4か月と数日後、Win版がSteamにて配信開始。内容自体はSteam実績が追加されているほかはSwitch版とほぼ同じ。配信タイトルがSwitch版と同じ時点でどっちをベースにしているのかは明白だが。 説明欄に「本作に登場するキャラクターは全て18歳以上です。」と記載されているが、逆にそれぞれの体格からして全員が同学年とも思えない。メインキャラクターの学年設定はどうなっているのだろうか? 特別なメッセージ 2019年12月27日に、公式Twitterから「Steam版が12月新作売り上げトップ20に入った」という記念のメッセージを残している。各行の1文字目を縦読みすると・・・ 前作までプロデューサーを勤めていた臼田裕次郎氏は既にqureateへ移籍していたためか、本作には携わっていない模様。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1159.html
「相手の武装が解らないからここはアンジェラスで」 「ありがとうございます!ご主人様!!」 手の平でおおいに喜ぶアンジェラス。 まぁ喜んでくれるのは嬉しい。 だけど他の三人は少し残念そうな感じだ。 『後で他の奴等と戦うから、その時にな』と言うとパア~と明るい表情になる神姫達。 さて、そろそろ対戦するか。 装備…よし! 指示…よし! ステータス…よし! アンジェラスを筐体の中に入れ、残りの神姫達は俺の両肩で座ってアンジェラスの観戦をする。 「アンジェラス、頑張れよ!」 「はい!ご主人様!!」 「負けるんじゃないよ!一番最初の闘いなんだからな!!」 「お姉さま~頑張って~!」 「アンジェラスさんー!頑張ってください!!」 「うん!」 アンジェラスは元気な笑顔を俺に見せ、筐体の中へと入って行く。 そんな時だった。 気がつくと俺は両手で握り拳をつくっていたのだ。 いつになく俺の心は興奮している。 何故だろう? 多分、誰かを応援している事によって熱くなっているのかもしれない。 それとアンジェラスに勝ってほしい、という気持ちがある…かもなぁ。 俺は筐体の方に目を移すと中には空中を飛んでいる二人の武装神姫達が居た。 READY? 女性の電気信号の声が鳴り響き、一気に筐体内の中に緊張が走る。 勿論、外に居る俺達もだ。 FIGHT! 闘いの幕があがった。 お互いの距離150メートルからスタートして、まずは二人とも距離を縮め接近する。 アンジェラスは清龍刀を出し右手に持ち、敵のストラーフに斬りかかった。 「せいっ!」 ガキン! 振り下ろされた清龍刀はDTリアユニットplusGA4アームの右のチーグルで受け止められてしまった。 敵のストラーフはニヤリと笑い、もう片方のチーグルでアンジェラスの右わき腹を攻撃しようとする。 「ハァー!」 「ッ!?」 とっさにアンジェラスは清龍刀を自分から見て右側面に向けた。 自分のわき腹が狙われた事を察知し、清龍刀を盾にする事によりチーグルの攻撃を防ごうとしたのだ…だが。 グワシャンー! 清龍刀とチーグルがぶつかった瞬間、衝撃でアンジェラスは地上に向けて吹っ飛ばされてしまったのだ。 そのまま吹っ飛ばされたアンジェラスは、なんとか体勢を整えようとしたいたが、敵のストラーフはその時間帯も許さない。 何故ならば、シュラム・RvGNDランチャーを構えアンジェラスに狙いを定めていたからだ。 「オチローーーー!!!!」 ストラーフがシュラム・RvGNDランチャーを撃ち、弾がアンジェラスに目掛けて飛んでくる。 俺はこのままヤバイと思い、大声で叫んだ。 「アンジェラス!ポラーシュテルン・FATEシールドを使えー!!」 「あ、はい!」 装備していたリアウイングAAU7の翼に装着させていたポラーシュテルン・FATEシールドを左手に持ち、スキルのステディプロテクションを発動させる。 ボカーン! ステディプロテクションの発動と同時に弾が当たり、アンジェラスの周りは煙だらけになる。 大丈夫なのだろうか? 煙で何も解らない。 もしかしてステディプロテクションが間に合わなかった!? いや、それはないはずだ。 あの瞬間、ステディプロテクションの壁に弾が当たる所をこの目でしっかり見たのだから。 「大丈夫かー!?」 ヒューンィーン 俺が叫ぶと、なにやら静かに動く機械音が耳に入った。 まさか、この音は!? 「イッケーーーー!!!!」 アンジェラスの姿は見なくとも声だけで認識できた。 紛れも無くアンジェラスの声だ。 バシューーーーン!!!! 煙の中から一直線の青い光線が飛び出し、ストラーフ目掛けて飛んでいく。 「えぇー、そんなのアリ~!?」 ズバーーーーン!!!! 「アグッ!?」 ストラーフは直撃を回避したものの、DTリアユニットplusGA4アームの左翼部分に命中し、殆どもってイカレタ状態。 これで左翼が無いと同じ、相当なバランス体勢が悪くなちまったに違いない。 それにしても、やっぱりあの攻撃はアンジェラスだったかぁ。 使った武器はGEモデルLC3レーザーライフル。 準備250硬直300、とても時間を掛けないと撃てない武器だ。 本来ならアンジェラスが撃つ暇が無かったと思うが、煙の中に居たために敵のストラーフが攻撃出来なかった。 それにシュラム・RvGNDランチャーを撃った反動で時間が空いてしまった。 その空いた時間を使ってアンジェラスがGEモデルLC3レーザーライフルを使用したのだろう。 「今だ、アンジェラス!」 俺は右手の拳を左手の手の平に打ちつけ、パンッ、と音を鳴らせる。 アンジェラスは煙の中から勢い良く飛び出し、M4ライトセイバーを取り出す。 ビシューン、という音とともに柄から発する棒状の光の刃が飛び出す。 「決めます!」 アンジェラスが叫び、敵のストラーフに斬りかかった。 ズバズバズバズバズバズバズバー! M4ライトセイバーのスキル、ジャスティスラッシュが発動し敵のストラーフを斬り刻む。 丁度、10HITした時に敵のストラーフのHPが無くなり力尽き地上に転落していき、ゲーム終了。 俺の方の筐体に付いてるスピーカーから『WIN』と女性の電気信号の声が鳴り響く。 多分、相手の方では『LOSE』と言われてるだろう。 そりゃそうだ。 勝ちがあれば負けもある。 二つに一つ。 「ご主人様!勝ちましたー!!」 筐体の中で俺の事を見ながら喜ぶアンジェラス。 俺も自分の神姫が勝った事が嬉しくて微笑む。 両肩にいるクリナーレ達も喜びはしゃいでいる。 そうか…。 これが武装神姫の楽しみ方か。 確かにこれは楽しい。 おっと、アンジェラスを筐体から出さないといけないなぁ。 俺は筐体の神姫の出入り口の中に手を突っ込みアンジェラスを待つ。 数秒後、アンジェラスは満面の笑みをこぼしながら俺の右手の手の平に乗った。 「ご主人様、初戦は勝利です!」 「そうだな。よくやった、アンジェラス。これはご褒美だ」 「…あっ」 俺の右手の手の平に乗ってるアンジェラスの頭を左手の人差し指の腹の部分で撫でる。 本来なら手の平全体で撫でてあげたい所だが、彼女達の身体は15cmの大きさだ。 頭の大きさも小さいため撫でるのは難しい。 だから人差し指の腹の部分で優しく撫でる。 「気持ち良いです。ご主人様…」 頬を桃色に染めながら照れるアンジェラス。 可愛い奴だ。 「あー!いいなぁ~アンジェラスの奴~。よし!!次の試合はボクが出る!!!」 「ダーリンのご褒美を貰うために頑張らないといけませんわね」 「あの…私のバトルは最後でもいいので…もし勝ったら、お兄ちゃんのご褒美くれますか?」 両肩で何やらアンジェラスに嫉妬しているように見える三人の神姫達。 そんなにご褒美が欲しいのか? まぁ今日はトーブン、ここにいるつもりだから一応全員バトルさせてやるか。 俺はアンジェラスの頭を撫でるの止めて離すと。 「…え?もう、お終いですか………」 とても名残惜しそうに切ない顔で俺の事を上目づかいで見てくる。 うっ!? 可愛い過ぎてもっと撫でてあげたくなるシチュエーションだ。 だがもし、ここでまた再びアンジェラスの頭を撫でると両肩に乗っている三人に何されるか解らないので撫で撫ではお預け。 アンジェラスを右手から右肩に移動させ、俺は次の筐体に向かった。 闘いはまだ始まったばかりだ。 「さぁ行くぞ!俺達のバトルロンドの幕開けだー!!」 こうして俺達のバトルロンドがスタートした。 そしてこの日からアンジェラスの二つ名が出来た。 名は『全てを束ねる者』…。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2124.html
ウサギのナミダ ACT 1-11 ◆ 久住菜々子は大学生である。 東京にある大学からの帰り、あのゲームセンターに寄るのは、一度最寄り駅を行き過ぎなくてはならない。 また、武装神姫を常に持ち歩いているわけではない。 だから、あのゲームセンターに行くのは、週末にしていた。 だが、今日は違う。 朝からミスティを連れ、装備の入ったアタッシュケースを持って、大学に行った。 はやる気持ちを抑えて、大学の授業をみっちりと受け、講義が終わったらダッシュで駅まで。 それでもゲームセンターにたどり着いたのは、夕方も遅くなってからだった。 今日は金曜日。 繁華街は、翌日休みの気楽さで、週末の夜を楽しもうと、すでに多くの人が繰り出している。 浮ついた世間の雰囲気とは逆に、菜々子の心は緊張していた。 ゲームセンターにつくと、すぐに武装神姫のコーナーへと向かう。 平日とはいえ、金曜日の夕方。休日に劣らず盛況である。 壁際に、見知った顔を見つけた。 大城大介だ。 雑誌を片手に、なにやら難しい顔で、バトルロンドの筐体を睨んでいる。 「大城くん、こんばんは」 「おお、菜々子ちゃん!」 振り向いた男の顔がぱっと明るくなった。わかりやすい。 「もう、来ないかと思ってたぜ……」 「うん……迷ってたんだけど……やっぱり、ね」 微笑みながら頷く大城。 そんな彼に、菜々子は片手を突き出した。 「その雑誌……またティアが出てるんでしょう? 見せて」 「いや、あの……これは」 雑誌と菜々子を見比べながら、困った顔をする大城。 「刺激が強すぎるから……見ない方がいいんじゃ……」 なかなか雑誌を渡そうとしない大城を一瞬睨み、菜々子は物も言わずに雑誌をひったくった。 薄い雑誌をぱらぱらとめくる。 中ほどの袋とじに、目的の記事はあった。開封されている。 扉は写真の反転画像で、黒の背景に白のラインで女性の姿を形作っている。 「大反響アンコール! 淫乱神姫・獣欲のまぐわい」と、また奇妙な字体で貼り付けられていた。 菜々子には中身の想像がつかないタイトルだ。 意を決して、一枚目をめくる。 「……っ!!」 肩にいるミスティが息を飲む気配。 震える手で、二枚目をめくる。 次のページを目にした瞬間、菜々子は雑誌とミスティを大城に押しつけると、すごい勢いでお手洗いに駆け込んだ。 「だからいわんこっちゃない……」 半分あきれ気味に大城が呟いた。 確かに、あの内容なら、見るのを止める方が親切よね、とミスティも思う。 しばらくして、菜々子が戻ってきた。 顔面は蒼白。ハンカチを口元に押しつけている。身体は小刻みに震えている。 それでも菜々子は、また黙って、大城に片手を突き出した。 「いや、だから、やめといた方がいいって」 「わたし、決めたの……もう逃げないって。あの二人の力になるって。だから、どんなに辛くても、わたしはそれを見なくちゃいけないのよ」 大城はため息をつくと、雑誌とミスティを菜々子に手渡した。 ミスティを肩に乗せ、再び例の記事を開く。 今度は、さっきよりも冷静に見ることが出来る。 しかしまた身体が震えだした。 「……ひどい……」 怒りだ。怒りに身体が震える。 雑誌の中で、ティアは陵辱されていた。 よつんばいのティアの後ろからのしかかっているモノ。 人間じゃなかった。人型ですらなかった。 犬だ。 神姫サイズの犬型ロボットが、ティアの背後から覆い被さっている。 雑誌の中のティアは、苦悶と恍惚が入り交じった表情を浮かべていた。 写真を見ているだけで、胸が張り裂けそうになる。気が狂いそうになる。 ティアは……毎日、こんな仕打ちに耐えていたというの。 菜々子の耳に、笑い声が聞こえてきた。 少し離れたところで、数人の男達が同じ雑誌を見ている。同じページを開いている。 下卑た笑い声を上げ、ティアのことをあることないこと声高に話している。 みな見知った顔だった。このゲーセンの常連達だ。 だったら、知っているはずではないのか。ティアと貴樹がどんな戦いをしたのか。それを見てもまだ、そんなバカにしたことが口に出来るのか。 ミスティは憎しみすらこもった眼差しで、猥談に花を咲かせる男達をねめつけた。 「あいつら……ふざけやがって……」 憎々しげな呟きの主に目を転じると、それは虎実だった。 ミスティはちょっと驚いて、虎実を見つめた。 「あら……虎実はちがうの?」 「たりめーだろ! ティアと戦ったヤツにはわかるはずだ! こんなクソ雑誌の記事なんか……いまの二人に何の関係もねぇんだって!」 虎実はミスティを睨んだ。 「アンタもそうじゃないのかよ、ミスティ」 ミスティを見る虎実の目は、真剣だった。 いつもはミスティがからかったのを真に受けて、ただ怒った視線を向けてくるだけだ。 だが今日は違う。 眼差しの質が違う。 自分の確固たる信念の下に、相手の嘘を許さない、揺るぎない視線。 「わたし、初めてあなたに関心したわ」 「……どーゆー意味だ、それ」 「あなたと同じ意見、っていう意味よ」 ミスティは薄く笑いかけた。 「虎実、わたしたち、協力しない? ティアが戻ってこれるように力を尽くすの」 「だったら……一時休戦すっか?……ティアのために」 「いいわ。これからわたしたちは仲間……戦友よ」 ミスティが握った拳の親指を立て、サインを出す。 虎実もサムアップして頷いた。 奇妙なシンパシーでつながった二人の神姫に、マスター達は顔を見合わせて、肩をすくめた。 そして、大城が、ちょっと難しい顔をして、言いにくそうに口を開く。 「先週末……遠野が来てな……日曜日に、ちょっと騒ぎになった」 「え? ……なにが、あったの」 日曜日の出来事を、大城はかいつまんで話した。 菜々子の顔がみるみる険しい表情になっていく。 「壁叩いて右手壊したって……あの、遠野くんが……!?」 にわかには信じがたい。 あの、いつもクールな雰囲気の遠野が感情を剥き出しにして自分を傷つけるなんて。 それほどまでに、彼は深く傷ついているのだ。 菜々子の想像よりも遙かに。 菜々子がうつむいて、思いを巡らせていたその時、 「よお、エトランゼ。珍しいな、平日の夕方に来るなんて」 男が声をかけてきた。 思わず睨みつけてしまったのは、タイミング的に仕方がないことと思う。 むしろ、空気を読め、と菜々子は言いたかった。 声をかけてきたのは、ヘルハウンドのマスターだった。 一緒に二人の男がいる。 いずれも見知った顔だった。 「三強が揃い踏み……ね。何か用?」 菜々子ははっきり言って、三強のマスター達が嫌いだった。 『ヘルハウンド・ハウリング』の二つ名を持つハウリン・タイプのマスターは、坊主頭で日焼け肌の男だ。 三人の中では一番の常識人だが、自分が三強の一角であることを時々鼻にかけることがある。 後ろの男達の一人は、ウェスペリオー・タイプのカスタム機のマスター。 『ブラッディ・ワイバーン』と呼ばれている。 背がひょろひょろ高く、薄気味悪い顔色。 困ったことに菜々子に気があるらしく、しょっちゅう言い寄ってくる。 このゲーセンに来た頃、「バトルに勝ったらデート」を無理矢理承諾させられた。 もちろんバトルは菜々子が勝ったが、その後の対戦者も次々に同じ条件を申し入れてきて、断れなくなった。 それを見た遠野に釘を刺されたのは苦い思い出だ。 遠野くんがわたしを、そんなに軽い女だと思っていたらどうするつもりなのかと、この男と顔を合わせるたびに腹が立つ。 もう一人は、年下の高校生だ。 三強の一角だけあってバトルは強いのだが、とにかく「俺強い」と主張する。 バトルに勝てば、相手を見下し、自分の強さをえらそうに自慢する。 逆に負けると、今回チョイスした武装、自分の神姫のせいにして、やっぱり対戦相手を見下す。 ミスティに言わせれば、最低の武装神姫プレイヤーだ。 そんな彼の神姫はエスパディア・タイプ。基本ユニットと素体はエスパディアだが、武装は種類も搭載量も毎回違う。 対戦相手に合わせてチョイスしているわけでも、武装を試しているわけでもないのだ。 あまりにも毎回武装が違うので、『玉虫色のエスパディア』と呼ばれていた。 本人は意味をよく分かっていないらしい。 三強を代表して、ヘルハウンドのマスターが口を開く。 「エトランゼを誘いに来た。……俺達の仲間に入らないか?」 「……あなた達の……?」 「強いヤツは強い者同士が仲間になった方がいい。情報交換や練習、戦術の研究もその方が効率的だ。 あんたの実力は、俺達三強も認めるところだ。だから誘いに来た。 それに……」 ヘルハウンドが一瞬口ごもったのを引き継いで、ワイバーンのマスターが口を挟んだ。 「それに、ティアのマスターも、もう来ないしさぁ! り、陸戦トリオも解散だよねぇ!」 ワイバーンのマスターは嬉しそうだ。 菜々子に気があるワイバーンにしてみれば、いつも菜々子のそばにいる遠野は、目の上のタンコブだったのだろう。 さらに、玉虫色が言った。 「てか、もうアイツはここに来られねーよな。あんな風に発狂しちゃったんじゃさ! あはははは!」 「……は、はっきょう……って……?」 「ああ、ティアのマスター、こないだの日曜日にキレて暴れ出したんだよ。 『悪いのは全部人間だ』とか言っちゃってさ。 他の男にヤられた神姫使っておいて、そんなこと言うなんてさ! 笑っちゃうよね! あはははははは!!」 「おい……言い過ぎだぞ」 さすがに、ヘルハウンドのマスターが、玉虫色のマスターの態度をとがめた。 菜々子は、そっと、唇を噛んだ。 あの遠野くんが、そこまで怒ったの。 あそこまで真っ直ぐに神姫と向き合っている人を。 あなたたち、そこまで彼を追い詰めたの。 菜々子は、肩にいるミスティにだけ聞こえる声で、ささやいた。 「ねえ……この悔しさって、遠野くんの悔しさに比べたらどれくらいかな」 「いいとこ、百四十四分の一くらいじゃない?」 「ずいぶんキリのいい数字ね……」 もう、許せない。 意を決して、うつむけていた顔を上げる。 菜々子は三強の男達を鋭く見据えた。 「わかったわ……それじゃあ、わたしとバトルして、あなた達が勝ったら、仲間になってもいい」 「なに?」 「わたしだって、組むなら強い人と組みたいもの。あなた達の実力、もう一度見せてもらいたいわ」 「そうか……わかった、今からバトルしよう。それでいいか?」 「ええ」 「対戦する順番は……あんたが指名してくれるのがいいかな……」 「何言ってるの?」 ヘルハウンドのマスターの言葉を、菜々子は鋭く遮った。 「違うわよ。『あなたたち』って言ったでしょう?」 武装神姫コーナーの奥、複数人数同時プレイ可能な大型の対戦筐体を指さした。 「スリー・オン・ワン。三人まとめてお相手するわ。準備して」 次へ> トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2352.html
第1部 戦闘機型MMS「飛鳥」の航跡 第5話 「荒兎」 空中では航空神姫同士のすさまじい戦闘が繰り広げられている。 アラキナ「くそったれ!!ケツにつかれた!!」 リーザ「うわあああ、誰かコイツを追い払ってくれ!!」 フラヴィ「こいつ!!チョロチョロっと!!!」 無数の航空神姫が有視界戦闘で、互いに最も射撃に有利な位置である敵機の背後に占位しようとして、くるくると激しい機動を行う。 武装神姫の航空戦は、武装神姫の機種によって飛行特性が異なるため、複雑な航空戦になる。 2030年代当初は軽量級の軽戦闘機型MMSが航空戦のメインであり、低速で小回りが効く特徴のため、最高速よりも軽快な旋回性能が重宝される傾向があったため、ドッグファイトは空中戦の基本であった。 単機格闘戦では武装神姫の技量が如実に反映されるため、軽戦闘神姫はもてはやされた。ただし、重くて強力なエンジンを積んだ高速機による一撃離脱戦法も使用されている。 2040年代になると航空神姫同士の空戦は、さらに混沌とした物となり、複数の航空戦闘では編隊を組んで戦う。高度な戦闘方法も編み出された。 エーベル「気をつけろ!!ガーリオンタイプは突っ込みが早い!!格闘戦闘に持ち込むんだ!!」 ジャネット「敵は軽戦闘機級の航空神姫ばかりだ!!一撃離脱で潰せ!!」 廻り込もうとするもの、高度を取って攻撃するもの、何が正しくで何が間違っているのか、分からない。 ただ、一つ分かることは、ミスを、小さなミスを犯したものからやられる。 ローズマ「うわあああ!!しまったァ!!いつの間に後ろにッ!?」 一匹のクワガタ型の後ろにピッタリと銃口を向けるカリーヌ。 今西「カリーヌ!!そいつを落とせ!!」 カリーヌ「イエス、マイマスター!」 ドドドドドン!! カリーヌがレールガンを撃つ、ローズマに命中し装甲がバラバラっと剥がれ落ちる。 ローズマ「うわああ!!」 よろめくローズマを直上からケイトが熱く熱されたブレードをぶううんと頭に叩き落す。 ドズン!! ケイト「もらったァーーーー!!!」 ローズマ「ぶぎゃ」 □クワガタ型MMS「ローズマ」 Sクラス 撃破 テロップがバトルロンドの画面に流れる。 折原「ろ、ローズマ!!」 ケイト「1機撃破!!」 エーベル「ローズマがやられた!!」 アミアス「マヌケ!!」 リーザ「グズが!!Sクラスのくせに真っ先にやられてんじゃねえ」 アオイがエーベルに近づく。 アオイ「なんだ!?もう1機やられたのか?」 エーベル「アオイ!敵はベテラン神姫だ。おまけに機種を統一してやがる。こりゃ一筋縄ではいかんぞ」 アオイ「ガーリオンタイプか・・・6機いるな、あいつらは必ず二機一組のロッテで襲ってくる。一人は囮で、もう一人がスキを見せたら喰ってくる。古典的な手だ」 エーベル「どうする?」 アオイ「相手にするな。相手の目的はあの戦艦型神姫の護衛だ。適当にあしらっておけ」 エーベル「簡単に言いやがる!!」 その頃・・・戦車型MMS「ヴァリア」は後悔していたと同時にマスターを恨んでいた。 ヴァリア「うううう・・・マスターのバカ!!アホ!!どうやって倒すんだよ!!こんな化け物!!」 ドンドンドンドンドン!! 戦艦型神姫、3隻がヴァリアたちに猛烈な艦砲射撃を行っていた。 ドセット・シャア「目標捕捉!!MKS40 2mm砲、斉射ッ!!!」 ドセットの主砲が速射をかける。強力な砲撃が行われ、砂地で砲撃していた神姫があっという間に撃破されていく。 バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンッ MKS40 2mm砲はカタリナ社の開発した艦載砲で、発射速度は毎分60発という強烈な速射砲。もちろん一発でも喰らえば通常の神姫はバラッバラになって砕け散る。 火器型MMS「ゼルス」 Bクラス 撃破 カブトムシ型MMS「ロムウェ」 Aクラス 撃破 直撃を喰らって、バラバラに吹き飛ぶゼルスとロムウェ、2人は悲鳴を上げるまもなく、吹き飛ばされる。 ドセットは正確なレーダー射撃で、遠距離から命中弾を叩き込む。 ドセット「敵、神姫を撃破、命中!!命中!!」 ヴァリアが戦車砲で砲撃する、弾丸はまっすぐにドセットに向かって命中するが・・・ クワン!! ヴァリア「くそう、はじかれた!」 松本「インターメラル3.5mmだぞ!!せ、戦艦型ははじくのか!?これを!!」 ドセット「戦艦型の装甲を舐めるなよッ!!!!!戦車型を捕捉ッ!!砲撃開始!!」 ヴァリアは続けて砲撃するが、むなしくはじくだけだった。 ヴァリア「畜生、鐘ついているんじゃねーんだぞ!!」 キャナ「っわ・・・わああたしは・・・もうダメですぅ!!に、逃げよう」 キャナは武装をぽいっと捨てると逃げ出した。 ミーヤ「あっ!まって!!おいてかないで!」 ミーヤもあわてて逃げ出した。 ヴァリア「うっわあああ!!コラアァ!!お前たち!逃げるな!!戦え!!」 ケンタウルス型のコルコットは四本足ですばやく逃げ出す。 ヴァリア「お・・・おまえらァ!!」 ドセット「ファイヤ!!」 バンバンバンバンバン!! ドセットがヴァリアに向けて発砲する。 チカチカっと砲塔が光る。 ヴァリア「ひ、ひいい!」 ヴァリアはインターメラル3.5mm砲やリアパーツ武装を排除して逃げ出した。 ドッガーーーン!! ヴァリアの武装にドセットの砲撃した弾が命中して大爆発を起こす。 松本「逃げるなヴァリア!!戦え!」 ヴァリアがぶちキレる。 ヴァリア「マスタァ!!おまえがやってみろォ!!やってられるか!!畜生ッ!!!!!」 帽子を地面に投げつけるヴァリア。 ドセット「敵は追い払いました。損害は軽微」 細田「うむ、よくやった。引き続き追撃しろ」 ドセット「了解」 ドセットはヴァリアたちに向けて砲撃を行う。 バンバンバンバンバン ミーヤとキャナは岩の陰に大慌てで隠れる。 ズズズン!!ドゴオオーーーン!! 着弾で地面が大きく揺れる。 ミーヤ「うわああ!!」 キャナ「ひいい」 コルコットが、ミーヤの横に転がり込む。 コルコット「はあはあ、んく・・・はあはあはあ」 ミーヤ「あれ?コルコット?」 キャナ「逃げてきたの?」 コルコット「ああ・・・危なかった」 ミーヤ「ヴァリアは?」 バンバンバン!! ドセットがまた砲撃を行う。 ドッガガガン!!ズウウン!! 砂埃が舞い上がる。 ヴァリアがミーヤたちが隠れている岩に飛び込む。 ヴァリア「ああああ!!」 ミーヤ「あーヴァリア」 キャナ「なんですか、自分も結局、武装捨てて逃げてきたんじゃ・・・」 ヴァリアは拳を握り締めてミーヤとキャナを殴る。 ミーヤ「痛い!やめっ!!なにすんの!」 ヴァリア「このこの!!真っ先に逃げやがって!!」 キャナ「やめてよ!ヴァリア!」 コルコット「お前だって、逃げてきただろう」 ヴァリア「うるさいうるさい!!みんな嫌いだ!!コンチクショウ!!」 コルコット「落ち着けよ」 ヴァリア「・・・・・くそう、バカスカ撃ってくるあいつを黙らせたい」 ミーヤ「無理だよ」 コルコット「そういえば、ケトは?どうした?」 一人の砲台型MMSが即席で掘った穴の中に砂を埋めて隠れている。 ゴオオンゴオオンゴオオオン・・・・ ちょうど真上を通過していく戦艦型神姫たち・・・ 林「まだよ・・・ケト・・・」 ケトはごくりと唾を飲む。 アオイに攻撃され、スタビライザーが壊れた戦艦型MMS「スーザン」がケトの真上を通過しようとしたそのとき。 林「今よ!!ケト!!エンジン部分を狙って!!」 ケトがばっと砂の中から姿を表わし、砲身のキャップをはずすと、スーザンのエンジン部分目掛けて滑空砲を放った。 ケト「ウオオオオオオオオオッ!!」 ズドン!! スーザン「!?ま、真下に砲台型MMS!!!」 西野「な、なに!?」 To be continued・・・・・・・・ 前に戻る>・第4話 「戦兎」 次に進む>・第6話 「重兎」 トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2406.html
プロローグ 小さな小さな総帥様 その街では、一番の交通量を誇る交差点に『ミッシェル・サイエンス』のビルはある 十階立てという、中心街にあるビルとしては規模が小さめなビルの、居住用に改装されている最上階に凛とした声が響きわたった 「総員! 起床!」 ピンクの髪、ネコミミのような帽子、眼帯 ボディは武装ではなく軍服に身を包んでいる 武装神姫、戦車型ムルメルティアと呼ばれる彼女の一言で他のクレイドルで体を休めていた他二人の神姫がスリープモードを解除する 「…おはようございます、少佐」 同じように軍にを身を包み、バイザー付きのヘルメットを目深にかぶったフォートブラッグ型の神姫が自らが少佐と呼んだムルメルティア型に向き直って姿勢を正して敬礼をする 「…うむ…おはよう、大尉」 少佐もまた大尉と呼んだフォートブラッグ型に敬礼を返す 「……おふぁようございましゅ、しょうしゃぁ」 二人に比べて少し…いや、かなり着崩れをした軍服に身を包み、金色のショートカットヘアもボサボサになってしまっているゼルノグラード型の神姫が眠そうな目を擦りながらゆっくりと起き上がり、呂律の回っていない挨拶をしながら少佐に緩やかに敬礼をする 「…曹長、十五秒の猶予を与える…やり直せ」 その言葉と同時の少佐の睨みが効いたのか、曹長と呼ばれたゼルノグラード型は軍服を整え、自分の両頬を軽く叩いてから背筋を伸ばし、少佐に敬礼をした 「申し訳ありません! お早う御座います! 少佐!」 「…よろしい…おはよう、曹長」 少佐もまた曹長に敬礼を返した ……どうやら、少佐はボサボサの髪を見逃してくれたらしい…… 日課の挨拶が終わり、次に三人が取る行動もまた日課となっている 「…では、総帥の所へ行くぞ」 少佐の一言で三人は行動を開始する 目的は別室にいる彼女らのマスター…『総帥』に挨拶をしに行くためだ 行動を開始した少佐に曹長が続こうとしたとき、後ろから大尉に方を掴まれ止められた 「…総帥の所へ行く前に、身だしなみくらいは整えて行くんだな」 曹長の方を掴む反対の手は、自前の櫛(神姫サイズ)が握られていた 「自分たちは戦闘をメインコンセプトに作られた『武装神姫』であるが、それと同時に『女性』だ…自分ならば、軍服よりも優先して整えるのだがな…」 言いながら大尉は曹長のボサボサの髪に、静かに櫛を通し始めた ……どうやら、大尉はボサボサの髪を見逃せなかったらしい…… 三人のいる部屋は、人間サイズの物が何一つ…クレイドル接続用のパソコン以外は…置いていない つまり『神姫のために用意された部屋』なのだ 出入り口は人間用のドアと、小さな神姫用のドアの二つある 総帥の『こだわり』がそこかしこに見て取れた 三人は神姫用のドアから通路に出るとまっすぐ総帥の部屋へと向かった 『社長室』と書かれたプレートが下がっているドアの前に差し掛かるとき、反対側から歩いてくる小さな姿が二つあった 「今朝も定刻通りだな、B」 少佐が話しかけると、前方から近づく影の動きが止まった 「当たり前でしょ? 少佐だって変わらないじゃない。ねぇD?」 「…………」 向こうから聞こえてきたBと呼ばれた声の主はインカムを装着し、二本のおさげが揺れ、体にはピッチリしたボディスーツを着込んだヴァッフェバニー型だった 後ろでは、ヘアスタイルはポニーテールだがBと同じボディスーツを着込む、Dと呼ばれたヴァッフェドルフィン型が無言で頷いている 「…ま、何はともあれ…おはよう少佐」 「うむ・・・おはようB、そしてD」 互いに挨拶を交わした後、五人はドアの前に一列に並んだ ここにもある神姫用のドアの前に少佐が一歩進み、ノックを三回する 「南十字隊少佐、α! 以下二名! 及び特殊部隊二名! 入ります!」 少佐の凛とした声が廊下に響いてから約二十秒後に、ドアの内側から「どうぞー」と高めの声が聞こえた 「失礼します」と少佐が一言断って入室すれば、そこは『社長室』というプレートに相応しくない洋風のダイニングルームだった 中央の広いテーブルにはトーストにミルク、サラダといった洋風の朝食があり、席に着いてそれを食べている人物こそ彼女たち五人のマスター…総帥である 腰まである栗色の長髪が背中あたりで大きく真っ赤なリボンで留められ、大人用の白衣は袖も裾も丈が余ってブカブカだった イスに座っているのだが、足が床に届かず、所在のないつま先がブラブラと宙をさまよっている たっぷりとバターを塗ったトーストをかじりながら、くりくりとした大きな目は部屋に入ってきた五人を見ている ……誰がどう見ても『総帥』や『社長』という呼び名に相応しくない子供である しかし五人の神姫は横一列に並び、一糸乱れぬ挙動で敬礼をする 『お早う御座います! 総帥!』 五人の声がきれいに重なると、総帥はかじっていたトーストを皿に戻してにっこりと笑った (実は、Dの声が聞ける数少ない機会だったりする) 「うん、おはようみんな」 この瞬間から、ミッシェル・サイエンスビル最上階にある高城家の一日は始まるのだった…… 戻る